筑波大、地震発生時の高周波と大きな断層すべりの関係を明らかに

2014年11月26日 14:36

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(a)解析には、沈み込むプレート表面の形状を考慮した非平面断層を仮定した。星印は震央を示す。(b)結果のスナップショット。暖色系になればなるほど、比較的強い高周波の放出を示す。白い等高線は、震源インバージョン法によってもとめられた断層すべり(筑波大学の発表資料より)

(a)解析には、沈み込むプレート表面の形状を考慮した非平面断層を仮定した。星印は震央を示す。(b)結果のスナップショット。暖色系になればなるほど、比較的強い高周波の放出を示す。白い等高線は、震源インバージョン法によってもとめられた断層すべり(筑波大学の発表資料より)[写真拡大]

 筑波大学の八木勇治准教授・奥脇亮大学院生らによる研究グループは、地震波の高周波放出現象が大きなすべりを誘発し、さらに大きなすべり同士を繋げる役割を果たした可能性があることを明らかにした。

 地震によって発生する地震波の中でも約1kHzの高周波はすべりや地震被害との関連が強いことが分かっている。しかし、これまでの解析手法(Back-projection法)では、高周波放出源の位置と時間を正しく求めることは困難であった。

 今回の研究では、新しい解析手法(Hybrid Back-projection法)を開発し、2010年にチリで発生したマグニチュード8.8の巨大地震について調べた。その結果、比較的強い高周波放出源が震央付近と震央から北東180kmの2カ所にあること、比較的弱い高周波放出源がこれら2回の高周波放出の間を埋めるように分布していることが分かった。さらに、比較的強い高周波の励起現象は大きなアスペリティ破壊に先立って発生していることや、比較的弱い高周波の励起源は、2回の大きなアスペリティ破壊を繋ぐように北へ伝播していることも明らかになった。

 今後は、断層形状が既知とされている内陸の地震でデータを解析することによって、高周波の励起要因を特的できる可能性が期待されている。

 なお、この内容は11月19日に「Scientific Reports」に掲載された。

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