マーズワン・プロジェクトの危うさ

2014年11月13日 16:14

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記事提供元:スラド

eggy 曰く、 2025年までに火星に人類初の永住地を作ることを目的に設立されたオランダの非営利団体「マーズワン」は2013年に火星への移住希望者を募集し、集まった希望者20万人のうち1058人を候補者に選んでいる。だが、1年間かけてマーズワンプロジェクトの調査を行ったElmo Keep氏は、火星への片道の旅を無事に達成するための情報が少なすぎることを指摘している(SlashdotMedium)。

 たとえば宇宙飛行士のChris Hadfied氏によれば、どんな有人宇宙プロジェクトにおいても問われるべき最も基本的な部分がマーズワンプロジェクトには欠けているのだという。たとえばクルーを輸送する宇宙船の詳細も明らかになっていないし、クルーの搭乗するカプセルがどんなものなのかも不明だ。こんな状態で、その宇宙船内で生活したり仕事する人を選出してはならないという。そして、マーズワンに関心のある人に対しては、「厳しい質問をぶつけるように」とアドバイスしている。

 今年開催された第65回国際宇宙会議で発表された、マーズワン計画に対する技術的な実行可能性を査定した報告書によれば、火星で作物を育てるためには湿度のコントロールや酸素の生成、二酸化炭素の分離・分解といった技術が必要になるという。また、シミュレーションでは移住から68日めに酸素の分圧低下による窒息やモル分率上昇による火災など「深刻な事故」が起きるだろうと予測されている。

 Keep氏によれば、「マーズワンプロジェクトは、最大限に良く言っても、驚く程に傲慢な幻想である」とのこと。

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