【忠田公夫の経済&マーケット展望】円安が120円まで進めば製造業のROEは10%を超え外国人投資家の評価高まる

2014年11月10日 11:18

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 9月8日付けで、「年内、この4カ月余りの政策対応が、わが国経済の行く末を決める非常に重要な局面に位置している」と記した。4月の消費税引き上げ後、景気は想定以上に悪化したうえ、10月末の米国のQE3終了が視野に入るなか、ユーロ圏の景気も下振れし、IMFは世界経済の15年の成長率見通しの下方修正に踏み切った。

 NYダウは9月19日の1万7350ドルを高値に、10月15日のザラ場1万5855ドルの安値まで1500ドル近く急落した。日経平均も9月25日の1万6374円を高値に、10月17日に1万4529円まで1845円の大幅安となった。

 今、わが国の経済は15年に及ぶデフレから脱却し、経済を好循環に導き、財政再建を果たす必要に迫られている。しかも、来年10月からの再増税の判断を12月上旬に控え、9月から10月にかけての株安は、企業経営者や消費者、あるいは投資家のマインドを大きく悪化させかねないリスクを孕むものだった。

 10月31日、米国のQE3が終了するこの日に、日銀はまさに意表を突く大胆な追加緩和策を発表した。米国の金融政策が出口に向かうタイミングで、日銀はさらなる緩和に乗り出す訳で、政策の方向は真逆であり、ドル円は109円台から直近の115円台半ばまで短期間で約6円円安に振れた。日経平均も11月4日に一時1万7127円と、7年1カ月振りの高値をマークした。

 日銀がデフレ脱却に向け強い意志を示した同日、GPIFが運用比率の見直しを明らかにしたことも、脱デフレ時代に合わせてリスク資産の配分を増やす政策の正当性を示唆し、市場に好感された。仮りに、1ドル120円まで円安が進行すると、製造業を中心に日本企業の株主資本利益率(ROE)が10%を超えることになり、海外の投資家の日本株に対する評価はさらに高まろう。

 日本経済の行く末を決める重要な局面の第2幕は12月上旬の消費再増税を巡る判断であり、注視したい。(証券アナリスト)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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