京大、世界で初めて早老症のニホンザルを発見

2014年11月6日 12:37

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早老症モデルのサル(京都大学の発表資料より)

早老症モデルのサル(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の高田昌彦教授・大石高生准教授らによる研究グループは、霊長類研究所で世界で初めて「早老症」のニホンザルをを発見した。

 早老症は実際の年齢よりも早く、老化が進行する疾患で、DNA修復能力の低下や染色体の不安定化が原因である。ウェルナー症候群やハッチンソン・ギルフォード症候群などがヒトの代表的な早老症として知られているが、これまでヒト以外の動物ではほとんど報告されていなかった。

 今回の研究では、霊長類研究所で飼育しているニホンザルの中に、通常とは外見の異なる子ザルを発見し検査を実施したところ、白内障・皮膚萎縮・大脳皮質や海馬の萎縮・神経伝導速度の低下・糖尿病マーカーの増加など、老齢ザルや早老症患者と共通した性質を示すことが分かった。さらに、細胞を調べたところ、増殖速度が低く、DNA修復能力も低下していることが明らかになった。

 研究メンバーは、「今後は、早老症モデルのサルの身体的な変化をさらに詳しく調べるとともに、その原因遺伝子を探索し、正常老化や早老症のメカニズムの解明を目指します。(中略)さらに、早老症に限らず、さまざまな特徴を持ったニホンザルを網羅的に探索し、身体・行動・ゲノムを多角的に調べることにより、新しいモデル動物に対する研究を試みたいと考えています」とコメントしている。

 なお、この内容は11月3日に「PLOS ONE」電子版に掲載された。

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