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京大、老化細胞ががんを引き起こす仕組みを明らかに
分泌たんぱく質によるがん化の促進を示す図(京都大学の発表資料より)[写真拡大]
京都大学の井垣達吏教授らによる研究グループは、老化した細胞ががん化を促進する仕組みを、ハエを使った実験で明らかにした。
これまで、組織中で老化した細胞ががん化を促進させる可能性が示唆されていたが、その仕組みや詳細については明らかになっていなかった。
今回の研究では、まず、哺乳類の細胞で観察される細胞老化の様々な指標をショウジョウバエで解析し、無脊椎動物において初めて細胞老化現象を発見することに成功した。さらに、老化した細胞はがん抑制たんぱく質p53の活性化と細胞分裂に関わるたんぱく質サイクリンEを不活化させることで細胞分裂を停止させ、この細胞分裂停止によってJNKと呼ばれるリン酸化酵素の活性化が引き起こされることが明らかになった。これら一連の流れによって細胞老化関連分泌因子(SASP因子)の産生が誘導されて周辺組織のがん化が促進される。
今後は、ショウジョウバエで明らかになったメカニズムを哺乳類の実験系で確認することで、老化した細胞を標的とした新しいがん治療法が開発されると期待されている。
なお、この内容は10月27日に「Nature Communications」に掲載された。
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