九大、口内の傷が治りやすい理由を明らかに

2014年11月1日 22:21

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マウス口腔内の写真。TRPV3欠損マウスでは、青い線で囲まれた抜歯後の傷の面積が野生型マウスよりも広い(九州大学の発表資料より)

マウス口腔内の写真。TRPV3欠損マウスでは、青い線で囲まれた抜歯後の傷の面積が野生型マウスよりも広い(九州大学の発表資料より)[写真拡大]

 九州大学の城戸瑞穂准教授らによる研究グループは、口腔内の傷が皮膚の傷よりも治りが早く傷跡も少ないのは、温度感受性イオンチャネルTRPV3の働きによることを明らかにした。

 口腔内の粘膜は、飲食などの際に傷が付くことも珍しくないが、皮膚と比べて治癒が早く、傷跡も残りにくいことが分かっている。しかし、その詳細なメカニズムについては明らかになっていなかった。

 今回の研究では、皮膚の培養角化細胞よりも口腔の培養上皮細胞の方が温度感受性イオンチャネルTRPV3の発現が強いことを発見し、実際にマウス実験でTRPV3遺伝子欠損マウスは野生型マウスよりも治癒が遅れていることを明らかにした。また、その原因としてRPV3欠損により上皮細胞の増殖が劣っていることを突き止めた。

 今後は、口腔の感覚と上皮や神経との関わりを明らかにし、TRPチャネルを標的とした作動薬の中で創傷治癒が効率よく促進される条件を見出すことが期待されている。

 なお、この内容は10月28日に「The FASEB Journal」に掲載された。

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