人間だけが想像をもとに絵を描く チンパンジーとの比較で明らかに

2014年10月30日 02:13

印刷

左の図は、輪郭をなぞったチンパンジーの絵(左)と「ない」部位を補って顔を描いた3歳2カ月の人間の絵(右)、右写真は、お絵かきするチンパンジー(パル、5歳)(京都大学の発表資料より)

左の図は、輪郭をなぞったチンパンジーの絵(左)と「ない」部位を補って顔を描いた3歳2カ月の人間の絵(右)、右写真は、お絵かきするチンパンジー(パル、5歳)(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の松沢哲郎教授・林美里助教らによる研究グループは、チンパンジーと人間の子供が絵を描く時の特徴を比較し、人間だけが想像を元にした絵を描くことを明らかにした。

 人間の子供が最初に描く絵は「かきなぐり」であるが、少しずつ描線がコントロールされていき、まとまった形が出てくる。一方、チンパンジーの子供は人間と同じように「かきなぐり」から始まるものの、その後、顔などの表象を描いた例はなかった。

 今回の研究では6頭のチンパンジーと約60人の人間の子供に、パーツが一部欠けている顔の絵を見せた。その結果、人間の子供は上手く描線がコントロールできないうちから欠けているパーツを補って描くのに対して、チンパンジーはないパーツを補って顔を完成させることは一度もなかった。

 研究メンバーは、「本研究から、チンパンジーの描画について深く知ることで、人間の描画の発達の特徴が見えてきました。いわゆる非定型と呼ばれる、障害をもったお子さんたちの描画についての研究が進み、理解が深まるでしょう。また、これまで言語や道具や家族について語られてきた人間の本性が、絵画・描画・お絵かきという分野にあることが明確に示されたと思います。今後は、人間の子どもやチンパンジーの同属別種であるボノボとの比較研究に進みます。」とコメントしている。

関連記事