【アナリストの株式・為替相場展望】一旦はリバウンド、世界経済減速に対する警戒感は強く米国市場の落ち着きが焦点

2014年10月19日 21:18

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■新興市場の先行切り返しに注目

 10月20日~24日の株式・為替相場は、前週までの急ピッチの下落に対して一旦はリバウンドの動きとなりそうだ。日本株はテクニカル面では売られ過ぎのシグナルを発している。海外投資家のドル買い・株買いポジションを手仕舞う動きはほぼ一巡した可能性があり、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式での運用比率を大幅に引き上げる方向で調整に入ったとの報道も支援材料だ。

 ただし世界経済の減速に対する警戒感や、米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和策第3弾(QE3)終了後の米国株の調整局面入りへの警戒感も強い。米国では28日~29日のFOMC(連邦公開市場委員会)や30日の7~9月期GDP速報値を控え、国内では主要企業の9月中間決算発表の本格化前であり、31日の日銀金融政策決定会合・10月展望リポートも控えて積極的な買い材料に欠ける状況だ。

 米国市場が落ち着くかどうかが焦点だが、世界経済の減速に対する警戒感が米FRBの利上げ時期後退観測に繋がり、米10年債利回りは2%台前半での推移が予想される。このため外国為替市場のドル・相場は1ドル=105円台~107円台の展開だろう。株式市場は一旦リバウンドでも9月中間決算発表を控えて主力大型株の戻りが鈍く、新興市場を中心に中小型株が先行して切り返す展開が注目される。

 前週は世界的に金融市場が波乱の展開となった。米国では10年債利回りが2%台割れ水準まで急低下する場面があった。米国株は調整色を強めて、ダウ工業株30種平均株価は15日の取引時間中に前日比460ドル07セント(2.82%)安まで急落する場面があり、16日にも取引時間中に206ドル52セント(1.28%)安まで急落する場面があった。外国為替市場ではドル買いポジション手仕舞いやリスク回避でドル売り・円買いの動きを強め、ドル・円相場は1ドル=105円20銭近辺までドル安・円高方向に傾く場面があった。

 こうした動きに警戒感を強めた日本株は、日経平均株価が週間ベース(14日~17日の4営業日)で768円04銭(5.02%)下落した。9月25日の終値1万6374円14銭(終値ベースの年初来高値)から、10月17日の終値1万4532円51銭まで1841円63銭(11.25%)下落となった。この間15営業日のうち前日比で上昇したのは僅かに4営業日に過ぎない。ちなみにダウ工業株30種平均株価は10月17日に前日比263ドル17セント高と反発し、9月19日の終値1万7279ドル74セント(終値ベースの史上最高値)から10月17日の終値1万6380ドル41セントまで899ドル33セント(5.21%)の下落である。

 前週末17日の海外市場はECB(欧州中央銀行)クーレ理事の数日内に資産購入(量的緩和)に踏み切るとの発言を好感して欧州株が大幅反発し、さらに米9月住宅着工件数や米10月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が市場予想を上回ったことも好感して、ダウ工業株30種平均株価は前日比263ドル17セント(1.64%)高と大幅反発した。米10年債利回りは2.2%近辺まで上昇し、ドル・円相場は1ドル=106円90銭近辺までドル高・円安方向に傾いた。CME日経225先物(円建て)は1万4880円だった。

 この動きを受けて来週初20日の日本株は反発スタートとなりそうだ。ただし世界経済の減速や米国株の調整局面入りに対する警戒感がくすぶり、主要企業の9月中間決算発表の本格化を控えているだけに、その後の積極的な買いは期待し難い。

 米国では小型株の代表的指数であるラッセル2000指数が先行して切り返しの動きを強めている。日本でも東証マザーズ指数は8月安値を割り込んだものの、前週後半にはやや下げ渋る動きとなり、17日は前日比0.73%高と反発した。

 新興市場の主力銘柄ミクシィ <2121> が17日に前日比8.18%高の5820円高値引けとなり、出来高も9月19日以来の水準に増加して東証マザーズ指数の反発を牽引した形だ。全体として一旦はリバウンドの動きでも主力大型株の戻りが鈍い状況が想定されるだけに、ミクシィの動きが牽引する形で新興市場を中心に中小型株が先行して切り返す展開が注目される。

 外国為替市場ではドル買い・円売りポジションを手仕舞う動きがほぼ一巡したようだが、ブラード米セントルイス地区連銀総裁が量的緩和策第3弾(QE3)終了の先送りに言及したこともあり、28日~29日の米FOMC(連邦公開市場委員会)や30日の米7~9月期GDP速報値を控えて、米10年債利回りが2%台前半の水準で推移することが予想され、ドル・円相場は1ドル=105円台~107円台の展開だろう。

 その他の注目スケジュールとしては、21日の中国7~9月期GDP、中国9月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、米9月中古住宅販売件数、22日の日本9月貿易統計、米9月消費者物価指数、23日の中国10月HSBC製造業PMI速報値、ユーロ圏10月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米8月FHFA住宅価格指数、米9月シカゴ連銀全米活動指数、米9月コンファレンス・ボード景気先行指数、23日~24日のEU首脳会議、24日の英7~9月期GDP速報値、米9月新築一戸建て住宅販売件数などがあるだろう。

 その後は10月26日の欧州の銀行ストレステスト・資産査定の結果公表、ブラジル大統領選、28日~29日の米FOMC、30日の米7~9月期GDP速報値、31日の日銀金融政策決定会合・10月展望リポート、11月4日の米中間選挙などが予定されている。(水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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