京大、皮膚のかぶれを引き起こす組織の撮影に成功 ステイロイド以外の薬剤開発に期待

2014年9月25日 18:04

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真皮樹状細胞とエフェクターT細胞の集簇(左)と、血管周囲に集簇する真皮樹状細胞とマクロファージ(右)(京都大学の発表資料より)

真皮樹状細胞とエフェクターT細胞の集簇(左)と、血管周囲に集簇する真皮樹状細胞とマクロファージ(右)(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の椛島健治准教授・江川形平研究員らによる研究グループは、かぶれ(接触皮膚炎反応)を誘導する物質SALT(皮膚関連リンパ網内系組織)を撮影することに成功した。

 これまで、皮膚以外のリンパ網内系組織は発見されていたものの、SALT(皮膚関連リンパ網内系組織)の実体は確認されていなかった。

 今回の研究では、二光子顕微鏡を用いることでかぶれ(接触皮膚炎反応)を三次元可視化し、皮膚内に形成されたSALTを撮影することに成功した。また、SALTは免疫応答が起こっている時にのみ誘導されることを発見し、これをiSALT(inducible SALT)と名付けた。iSALTの形成なしにかぶれは起きないため、iSALTは少なくとも一部の皮膚炎反応の誘導に必須であると考えられる。

 研究メンバーは「今回私たちは、かぶれが起こっている現場の3次元動画の撮影に成功しました。現在、かぶれ治療の主流はステロイドの外用ですが、今回の研究成果によって、よりiSALTの形成を阻害する化合物が開発されれば皮膚炎を制御できる可能性があり、今後iSALTの役割のさらなる解析が求められます」とコメントしている。

 なお、この内容は9月21日に「Nature Immunology」電子版に掲載された。

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