産総研、二種類の原子が交互に並んだ原子の鎖を作製

2014年9月21日 20:58

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カーボンナノチューブに閉じ込めたCsI原子鎖の実際の電子顕微鏡像と模式図(産業技術総合研究所の発表資料より)

カーボンナノチューブに閉じ込めたCsI原子鎖の実際の電子顕微鏡像と模式図(産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • CsI原子鎖とCsI結晶の比較(産業技術総合研究所の発表資料より)
  • 二層カーボンナノチューブ内部に合成されたCsI原子鎖(産業技術総合研究所の発表資料より)

 産業技術総合研究所の末永和知首席研究員と千賀亮典研究員は、二種類の原子が交互に並んだ原子の鎖を合成することに成功した。

 コンピュータやスマートフォンに使われる電子デバイスの材料として、グラフェンなどの二次元材料の研究が進んでいる一方で、一次元の構造である原子鎖はほとんど注目されて来ず、学術的な理解も深まっていない。

 今回の研究では、直径約1mm以下のカーボンナノチューブにCsIの蒸気を接触させてカーボンナノチューブ内に取り込むことで、Cs(セシウム)原子とI(ヨウ素)原子が交互に並ぶ原子鎖を合成した。さらに、密度汎関数法を用いて光吸収スペクトルを計算したところ、I原子が抜けた場所は電子を放出しやすくCs原子が抜けた場所は電子を受け取りやすいという性質を持っており、新しい電子光学デバイスへの応用の可能性が示唆された。

 今後は、本研究で得られた光学特性を応用した微小光源や光スイッチなどの開発が期待されている。

 なお、この内容は9月15日に「Nature Materials」に掲載された。

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