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睡眠・覚醒リズム異常に関連する遺伝子が明らかに
標準的生活者、夜型生活者、睡眠相後退型、フリーラン型のそれぞれの睡眠パターンを示す図(国立精神・神経医療研究センターの発表資料より)[写真拡大]
国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長らによる研究グループは、アミノ酸置換を伴う時計遺伝子PER3の違いが概日リズム睡眠障害の発症に関連していることを明らかにした。
概日リズム睡眠障害には6つの種類があり、これまでの研究では朝型夜型や明け方にようやく寝ついて昼頃に目を覚ます「睡眠相後退型」と関連のある時計遺伝子が研究されてきたが、睡眠時間帯が毎日徐々に遅れてしまう「フリーラン型」に関連する遺伝子は明らかになっていなかった。
今回の研究では、睡眠相後退型182名・フリーラン型67名の概日リズム睡眠障害患者と、健常者925名を対象に、7種類の時計遺伝子多型を調べたところ、フリーラン型患者にはPER3遺伝子多型rs228697のマイナーアリルGが有意に多いことが分かった。つまり、PER3遺伝子多型rs228697が、夜型指向性やフリーラン型の発症と関連していることが示された。
概日リズムの形成には時計遺伝子・時計蛋白の相互調節が重要な役割を担っていることから、この遺伝子多型に伴うアミノ酸置換がPER3蛋白機能に何らかの変化を生じ、体内時計機能に違いをもたらしている可能性があると考えられる。
今後は、概日リズム睡眠障害の発症メカニズムを解明することで、より精確な診断法や効果的な治療法の開発に寄与できると期待されている。
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