NYダウは中間選挙を控え上げ賛成、日本も内閣改造を好感する展開へ=犬丸正寛の相場展望

2014年8月15日 16:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 来週は、盆休み明けと共に9月の内閣改造による経済対策を先取りする展開が予想される。

 盆休み最後の週末15日の東証1部売買代金は1.39兆円と今年最低水準を記録した。悪い材料が出たことにる手控えで売買代金が少なくなったわけではなく、盆休みで参加者が不在だったためである。過去のデータでは、売買代金が低水準のときは、相場でいう「陰の極」であり、その後の相場上昇につながっていることが多い。

 9月上旬には、内閣改造が予定されている。年初からこれまでの政治は、経済は大切といいながら実際は集団的自衛権等に力が注がれ、経済は放置されてきたといえる。もちろん、4月実施の消費税の影響を見極めてから動きたいという気持ちはあったと思われる。

 その4~6月は実質GDPが年率でマイナス6.8%の大きい落ち込みだった。政権内から、想定の範囲内との発言が聞こえるが、それでも、さすがにマイナス6.8%を良い数字とは言い換えることはできない。

 とくに、デパート売上を見ても個人消費が厳しい。当然だろう、給与は増えたといっても、それ以上に生活必需品物価の上昇、電気ガス代、ガソリン代の値上り、年金の減額等の負担が大きく、気持ちよく消費にお金を使える気分ではない。

 企業にとっても、4~6月期決算をみると建設、物流などのところで人件費高騰、原材料費高騰の影響で収益を圧迫されたところが目立つ。「円安」と、「公共投資」が続く限り、このコストアップ要因はなくならない。

 したがって、9月の内閣改造後の経済はどこに優先順位をつけるか。2020年開催に向けてオリンピック建設投資はやらなくていけないが、その他の公共投資を増やせば、さらに資材高騰、人件費高騰を招く。公共投資中心をあまり前面に出すわけにもいかないだろう。  原発は、すぐに再稼動が見込める状況ではないから、とくに、輸入LNG増加による貿易赤字をどうするのか。これまで、採ってきた「円安」政策の見直しも予想されないことではない。

 とくに、円安でも輸出が増えないのだから、それなら円高傾向にして燃料調達代金を下げ貿易収支改善に結びつける、ということも考えられる。

 公共投資中心の経済対策から規制緩和、株、土地などの上昇による資産効果で消費を刺激する景気対策へ軸足を移す必用がある。

 幸い、NYダウは堅調である。これまでの金融緩和策とシエールガス効果で企業々績は好調でダウベースの1株利益は1060ドルと最高水準にある。

 しかも、イラク、ウクライナ情勢の緊迫化で世界マネーはアメリカの国債とアメリカの株に流入している。いわゆる、「アメリカ買い」が鮮明となっている。

 中間選挙を控えたオバマ政権にとって株高は悪い話ではない。むしろ、選挙までは株高に賛成とみるべきだろう。NYダウ1万7500ドルの可能性は十分予想される。

 となれば、日本株も強い展開が予想される。9月の内閣改造後の経済政策を睨みながら、個別では物価、人件費高騰を吸収して増益の見込める銘柄が物色の中心となろう。日経平均は、秋相場において内閣改造を好感する形で昨年暮れの1万6320円(場中)を目指すものとみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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