アトラスVロケット、航法衛星GPS IIF-7の打ち上げに成功

2014年8月3日 20:27

印刷

記事提供元:sorae.jp

アトラスVロケット、航法衛星GPS IIF-7の打ち上げに成功(Image credit: ULA)

アトラスVロケット、航法衛星GPS IIF-7の打ち上げに成功(Image credit: ULA)[写真拡大]

 ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は現地時間1日、航法衛星GPS IIF-7を搭載したアトラスVロケットの打ち上げに成功した。

 ロケットは米国東部夏時間2014年8月1日23時23分(日本時間2014年8月2日12時23分)、米国フロリダ州にあるケープ・カナヴェラル空軍ステーションのSLC-41から離昇した。

 ロケットは順調に飛行し、約4分10秒後にセントール上段を分離、第1回燃焼を開始した。約13分後に燃焼を終え、慣性飛行に移り、その3時間後に第2回燃焼を開始。約1分30秒後にエンジンを止め、その約5分後に衛星を分離した。

 GPS IIF-7はカーナビやスマートフォンなどでおなじみのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)を構成する衛星で、GPS IIFはGPSの衛星としては第4世代に当たる。前世代機と比べ、搭載されている原子時計の正確さが上がり、それによって測位もより正確にできるようなっている。

 今回打ち上げられるのはその7号機で、今回の打ち上げ成功で軌道上にあるGPS衛星は全39機となった。今後も、旧世代機からの入れ替えが順次進められていく予定だ。

 GPS IIF-7はボーイング社が製造し、運用は米空軍が担当する。打ち上げ時の質量は1,630kgで、高度20,200km、赤道となす角度が55.0度の円軌道を周回する。設計寿命は15年が予定されている。

 打ち上げに使われたアトラスVは、ロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、ボーイング社のデルタIVロケットと共に、ロッキード・マーティン社とボーイング社の共同出資で設立されたULA社によって運用されている。

 今回の打ち上げに使われたのはアトラスV 401と呼ばれる構成で、これはフェアリングの直径が5m、固体ロケットブースターは装備せず、セントール上段にRL10エンジンが1基、ということを示している。アトラスV全体を通しての打ち上げ回数は今回で47機目となり、2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けている。

 アトラスVの第1段には、ロシアのNPOエネルゴマシュ社が製造したRD-180エンジンが使われており、このエンジンを巡っては米国の国内、またロシア側からも、その使用や輸出に関して揉めている状況が続いている。ロシアのロゴージン副首相は、軍事衛星の打ち上げにロシア製エンジンの使用を禁止することも匂わせており、今後、今回のような軍事衛星の打ち上げに、アトラスVが使えなくなる可能性があることから、現在米国製の代替エンジンを開発する動きが始まっている。

■Atlas V Successfully Launches GPS IIF-7 - United Launch Alliance
http://www.ulalaunch.com/ula-successfully-launches-gps-iif-7.aspx

【関連記事】
アトラスVロケット、8月1日の打ち上げに向け準備進む
ULA社、ロシア製ロケットエンジンに代わる新しい国産エンジンを模索
アトラスVロケット、NROL-33の打ち上げに成功 渦中のロシア製エンジン搭載
アトラスVロケット、偵察衛星NROL-67の打ち上げに成功
アトラスVロケット、軍用気象衛星DMSP-19の打ち上げに成功

関連記事