理研、スパコン「京」を使って世界最大規模の全球大気アンサンブルデータを同化

2014年7月26日 20:24

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アンサンブルデータ同化による18日目の水蒸気量の相関マップ。黄色い星の水蒸気量に対する各地点の水蒸気量の相関係数を色で示している。上:100個のアンサンブルを使った場合。中:上図に局所化関数を適用した場合。下:10,240個のアンサンブルを使った場合。(理化学研究所の発表資料より)

アンサンブルデータ同化による18日目の水蒸気量の相関マップ。黄色い星の水蒸気量に対する各地点の水蒸気量の相関係数を色で示している。上:100個のアンサンブルを使った場合。中:上図に局所化関数を適用した場合。下:10,240個のアンサンブルを使った場合。(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • アンサンブルデータ同化による18日目の水蒸気量の誤差を表すヒストグラム左:100個のアンサンブル使った場合。右:10,240個のアンサンブルを使った場合。(理化学研究所の発表資料より)

 理化学研究所は、スーパーコンピュータ「京」を使って、10,240個のアンサンブルデータを同化させることに成功した。

 スーパーコンピュータを使って天気を予測する方法として、風や気温の時間変化を使って、並列して複数のシミュレーションをおこなうアンサンブル予報と呼ばれるものがある。これまでは100個程度の並列シミュレーションしかおこなわれていなかったが、その数を増やすと予報の精度を高められることが期待されていた。

 今回の研究では、「京」向けに最適化された高性能固有値計算ソフトウェアを組み込みアンサンブルデータを同化する速度を大幅に向上させることに成功した。その結果、3週間分、10,240個のアンサンブルデータ同化を達成した。これまではノイズが大きかったため、観測の影響を2,000~3,000km以下に限定して扱う必要があったが、本研究成果によって1万km先の観測データを気象予測に活用することが可能になった。

 今後は、今回明らかになった手法が実際の観測データでも適用できるよう、さらなる研究が進められることが期待されている。

 なお、この内容は7月24日に「Geophysical Research Letters」オンライン版に掲載された。

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