低消費電力のフィルム状ディスプレイを実現可能にする新技術が開発される

2014年7月26日 17:00

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記事提供元:スラド

bghtyu67 曰く、 イギリスのオックスフォード大学とエクセター大学のグループが、相変化材料の薄膜を用いた高空間分解能イメージング技術を2014年7月のNatureに発表した(Optics & Photonics NewsNature掲載論文)。この技術を使うことで、薄く柔軟性があり、低消費電力のフィルム状ディスプレイを実現できる可能性があるという。

 この論文で用いられているのはGe2Sb2Te5 (GST)という相変化材料で、パルス電流を流すとアモルファスになり、一定時間の電流を流すと結晶構造をつくるという性質を持つ。このような性質からGSTはフラッシュメモリに代わる不揮発性記憶媒体の材料として注目されていた(PCwatch 2007年2月の記事)。

 研究者らはアモルファスと結晶質の光学特性の違いに着目。ミラー上の半透明電極間に厚さ数100nm以下のGST薄膜を作成し、電流の流し方によって結晶、アモルファスをコントロールすることによって色の切り替えに成功した。GST下方の電極の厚さによって色のバリエーションを作ることもでき、赤、青、紫、橙、白を表現している。

 Optics & Photonics News の記事によると、本手法ではon/offの状態が画像を変更したいその時まで保存される点で、継続的にリフレッシュが必要な液晶ディスプレイとは異なるという。私の個人的な感想としては、自ら光を発せずに色の違いを表現する点で、どちらかというと高分解能ディスプレイというより高分解能お絵かきと言う方が近いように感じる。

 また、実用化における課題は電流のかけ方をナノスケールでコントロールする手法ではないかと考える。論文では原子間力顕微鏡(AFM)の電極プローブを用いているが、この手法では切り替えに時間がかかるだろう。しかし1ピクセルあたりのon/off切り替えに必要な時間は非常に短いので、原理上の高速化のポテンシャルは高いと言える。

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