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大人が新しい言語を習得しにくいのは、意識して分析的に考えるから?
あるAnonymous Coward 曰く、 言語習得は大人よりも子供の方が得意であるが、これは大人の発達した脳が言語習得の邪魔をしているためという論文が発表された(Science Daily)。
子供のころのほうが新しい言語を覚えやすいという話は以前から言われている。実際、思春期に終わるとされている「言語習得期」の脳は言語の音を分析したり、それらの音を組み合わせて単語や文章を構成できる能力に秀でているという。そして、この期間が終了すると認知能力が発達して言語構造の理解を邪魔するため、新たな言語を理解するのが格段に難しくなるという。
さらに大人の場合、習得しようと頑張れば頑張るほど混乱してしまう言語要素があることがマサチューセッツ工科大学のMcGovern Institute for Brain Researchが行った研究で明らかになったとのこと。これによると、大人は「言語を意識して聞き過ぎるために習得しづらい」ことが分かったという。
これは「頭で覚える」陳述的記憶と、「体で覚える」手続き記憶の両方が言語習得に関わっているという説を裏付けるものであるという。陳述的記憶と手続き記憶は脳の異なる部位が使われるが、意識的に言語に耳を傾け陳述的記憶が活性化すると言語の形態論的習得の邪魔になると考えられるそうだ。
逆に子供が複雑な言語要素を簡単に身につけてしまうのは、陳述的記憶に使われる前頭葉前皮質が大人ほど発達していないからとも考えられるという。
なお、この研究で行った実験では被験者を2つのグループに分け、それぞれに3つの単語を1フレーズとする人工言語の録音を10分間聞かせたとのこと。一方のグループにはこの言語を「流し聞き」させ、もう一方のグループにはこの人工言語の単語を意識しながら聞くよう指示したという。
その後のテストで録音に含まれていたフレーズを元に正しい語順と誤った語順を識別させたところ両グループの成績に差はなかったが、録音には含まれなかった単語の入ったフレーズの語順の正誤を判定させたところ、意識的に聴いていた被験者よりも受動的に聴いていたグループの方が格段に成績が良いという結果になったそうだ。
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