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農研機構など、ヒトとマウスの甘味受容体の違いを明らかに
実験結果から予想されるヒト甘味受容体の膜への移動システムの概要を示す図。ヒトT1r2とヒトT1r3は小胞体 と呼ばれる細胞内小器官 で合成され、ヒトT1r2とヒトT1r3がが共存する時に は小胞体から膜表面に移動する。(研究の発表資料より)[写真拡大]
農研機構・理化学研究所・岡山大学による合同研究グループは、ヒトとマウスでは甘味受容体が細胞膜に移動する仕組みが異なることを明らかにした。
甘味・苦味・酸味・塩味・うま味の5つを基本味と呼んでおり、それぞれの基本味は異なる味覚受容体が存在することや、動物の種類によってその感受性が異なることが知られている。
今回の研究では、味覚の基礎研究や味の評価に使われることの多いマウスの甘味受容体が、ヒトとどのように異なっているのかを調べたところ、ヒトの甘味受容体T1r3が細胞膜に移動するためにはT1r2が必要であるが、マウスのT1r3は単独で移動できることが分かった。さらに、T1r3の変異体を用いて細胞膜への移動を観察したところ、ヒトT1r3のうち細胞外に飛び出た領域の中に移動を阻害する部位がある可能性が示された。
本研究成果から、ヒト甘味受容体の細胞外の領域に、まだ明らかとなっていない細胞膜への移動システムが存在すると考えられ、その解明が期待されている。研究グループは今後、ヒトの味覚受容体を使って簡便で客観的な味覚評価技術を開発し、食品の味の評価に活用する予定という。
なお、この内容は7月16日に「PLOS ONE」オンライン版に掲載された。
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