東大など、細胞に異物や死細胞を「食べる」機能を付与することに成功

2014年7月17日 18:19

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細胞が死細胞を「食べ」た様子を示す図(研究の発表資料より)。死細胞(ピンク)がHeLa細胞(緑)の内部に存在することを示している。左図は細胞を上から観察したもので、白い太線は20マイクロメートルを示す。右図は左図の黄色い点線の部分を拡大し、さらにさまざまな角度から眺めたもの。

細胞が死細胞を「食べ」た様子を示す図(研究の発表資料より)。死細胞(ピンク)がHeLa細胞(緑)の内部に存在することを示している。左図は細胞を上から観察したもので、白い太線は20マイクロメートルを示す。右図は左図の黄色い点線の部分を拡大し、さらにさまざまな角度から眺めたもの。[写真拡大]

 ジョンズホプキンス大学の井上尊生准教授・東京大学の小松徹特任助教らによる研究グループは、異物や死細胞を食べる機能を持たない細胞に、その機能を付与することに成功した。

 細胞の中には、異物や死細胞を「食べる」機能をもつものがあり、これを貪食細胞と呼んでいる。こうした動的なシステムを理解する上では、細胞内の構成員しに変動を加えて、その反応を調べる手法が用いられているが、細胞表面の情報伝達については確立されていなかった。

 今回の研究では、細胞の外側に機能性タンパク質を露出させるために、ゴルジ体に溜まる滞在型タンパク質を輸送型タンパク質に結合させることで、細胞外膜に輸送させることに成功した。さらに、異物や死細胞を食べるために必要な分子を発現させ、細胞表面に誘導したところ、標的となる死細胞と接着することが明らかになった。

 今後は、本研究によって確立された手法によって、複雑な分子経路で制御される様々な生命現象を解明することが可能になると期待されている。

 なお、この内容は7月15日に米国科学誌「Science Signaling」に掲載された。

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