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「巨大ビジネスチャンス」 官民連携で目指す農業のグローバル化
今月、日本で最大級の監査法人トーマツが、日本の農業の成長産業化に向けた事業を開始すると発表した。トーマツは昨年7月には農林水産業ビジネス推進室を設立し農林水産業への関与を深めており、この事業はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉でも大きく取り上げられた農業のグローバル化を進めるきっかけの一つになりそうだ。
トーマツは今回の事業目的を「グローバル需要を取り込む新たな農業事業モデルの構築」と定めている。トーマツが持つグローバルネットワークを活用し、生産者や農業関連団体、各業界の企業、そして政府が連携してグローバル化に伴う課題に取り組むのだという。これらの課題には戦略品目の選定や法規制への対応など単独企業では解決困難なものが並ぶ。日本の農産物はアジアを中心とした世界各地で高い評価を得ており、世界に展開できる可能性は大いにあるものの、輸出額は伸び悩んでいるのが現状だ。グローバル化に向けた包括的なアドバイスを与える枠組みが生まれれば、輸出が一気に進む可能性もある。
政府はこの農業のグローバル化に大きな期待をかけている。今回のトーマツの事業は経済産業省の「グローバル農商工連携推進事業」の公募で採択されたものだ。農林水産業の輸出促進に向けた農商工連携とグローバルな農業生産・加工・流通システムの構築を目的とするこの事業に、今年度経済産業省は10億円の予算を設けている。ここから日本の高品質な農林水産物を世界展開するという政府の意気込みが見て取れる。本来農林水産省が管轄するような事業を経済産業省が公募・選定していることからも、農林水産業を「製造業」として捉え、いかにしてブラント力を高め輸出していくかが事業のカギとなっていることがわかるだろう。
TPP交渉の際にも明らかになったように、日本の農業を世界に開放することにはまだまだ抵抗がある。しかし、活路がグローバル化にあることもまた明らかである。官民の連携で農林水産業のグローバル化が進み、世界で「日本ブランド」が確固たる地位を確立することを期待したい。(編集担当:久保田雄城)
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