東大、木星の衛星イオで起きた太陽系最大級の火山噴火を観測 有珠山噴火の1万倍

2014年6月21日 02:33

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ボイジャー探査機で撮影されたイオの火山性噴出 (Image credit: NASA/JPL/USGS)

ボイジャー探査機で撮影されたイオの火山性噴出 (Image credit: NASA/JPL/USGS)[写真拡大]

 東京大学の吉井讓教授らによる研究グループは、中間赤外線望遠鏡を用いて、木星の衛星イオで太陽系最大級の噴火を観測することに成功した。

 イオは、木星を回る衛星の一つで、太陽系の中で最も火山活動が活発な天体として知られている。これまでにもイオの火山活動はモニタ観測されていたが、近赤外線を用いていたため太陽の反射光による影響が大きく、十分な結果を得られていなかった。

 今回の研究では、標高が世界で最も高い位置に設置されているチリの東京大学アタカマ天文台1m望遠鏡を用いて観測をおこなった。観測波長は太陽の反射光の影響を受けにくい中間赤外線(8.9μm)で、2年間の断続的なモニタ観測を実施した。その結果、2011年にダイダロス火山が10兆ワットもの総エネルギーで活動していたことが明らかとなった。これは、2000年有珠山の噴火時の放射エネルギーの約1万倍に相当し、太陽系最大級の火山活動であると考えられている。

 今後は、同じチリのアタカマにに解像度が6倍向上する6.5m望遠鏡を建設し、さらに太陽系内外の天体観測を推進していく予定である。

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