生後1歳までに全身麻酔を受けると短期記憶力が低下するという研究結果

2014年6月14日 08:00

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記事提供元:スラド

eggy 曰く、 生後1歳までに全身麻酔を受けた子供は、短期記憶が損なわれてしまうという研究結果が公開された。読解力、教室学習、エピソード記憶などに影響が及ぶことになるという(VergeSlashdot)。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGreg Stratmann麻酔学教授が、生後1歳までに全身麻酔を受けた6~11歳の子供28人を対象に回想力の実験を行った。実験の方法であるが、まずコンピューター画面上の任意の位置にさまざまな色の枠線で囲った80個の絵を見せた。そして5分後に、枠線を取り除いた160個の絵を先程とは別の位置で見せ、その中から先程見た絵を選ばせた。また、絵を思い出すことができた場合は、枠線の色や、絵が表示された元の位置を尋ねた。その結果、全身麻酔を受けたことのある子供は、そうでない子供と比べて、色に関する正解率が20%劣っていたとのこと。また、空間認識力は21%劣っていたとのこと。

 また、ラットを使って臭気に対する回想力の実験を行い、先程と同様に麻酔を受けたことのあるラットと、麻酔を受けたことのないラットを比較した。すると、麻酔を受けたことのある全てのラットは、臭いの回想力が皆無であったとのこと。一方の麻酔を受けたことのないラット群で臭いを記憶する能力に問題があったのは、17匹中たった2匹しかいなかったとのこと。

 今回の2つの実験により、乳児の時に全身麻酔を受けると後の人生で記憶力が害されることが示唆された。また最近の他の研究でも、麻酔が子供に発達障害や注意欠陥多動性障害のリスクを及ぼすことが指摘されている。子供に麻酔をかけることに、より慎重になるべきなのだろう。

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