川崎重工、東京モノレールに停電時非常走行用の蓄電設備を納入

2014年6月9日 15:43

印刷

川崎重工が東京モノレール向けに納入した、停電時の非常走行を目的とした鉄道システム用地上蓄電設備(BPS)

川崎重工が東京モノレール向けに納入した、停電時の非常走行を目的とした鉄道システム用地上蓄電設備(BPS)[写真拡大]

  • 川崎重工が東京モノレール向けに納入した鉄道システム用地上蓄電設備(BPS)で使用されている大容量ニッケル水素電池「ギガセル」

 川崎重工は9日、東京モノレール向けに、停電時の非常走行を目的とした鉄道システム用地上蓄電設備(BPS)を世界で初めて納入したと発表した。

 同社によると、今回納入したBPSは、東京モノレールの品川変電所と多摩川変電所に設置され、停電で駅間に停止した電車を最寄り駅に自力走行させるための電力を供給することができる。

 東京モノレールでは、東日本大震災を契機として、電力会社からの電力供給が止まって電車が駅間に停車した際の乗客の安全性確保策を検討していた。今回のBPS導入により、朝のラッシュ時に上下線35.6km全線で最大17編成が駅間に停車した場合でも、最寄り駅へ乗客を安全に移動させることが可能となる。

 今回の蓄電設備には、川崎重工が開発した大容量ニッケル水素電池「ギガセル」が使用されている。これまでの鉄道用電力貯蔵設備は、電車の停止や減速の際に発生する回生電力を充電し利用する省エネルギーが目的だったが、今回の設備ではギガセルの大容量・高速充放電性能によって、世界で初めて営業運転での蓄電池による停電時非常走行が実現したという。

 川崎重工は、回生電力の有効利用による省エネルギー化や、き電線電圧の安定化を主な目的として、国内外の鉄道事業者に複数のBPSを納入した実績を持つ。BPSによる停電時非常走行は、大規模地震発生時の有効な対策として、モノレール会社や地下鉄事業者などから関心が寄せられているという。

関連記事