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【鈴木雅光の投信Now】プロ向けファンドに規制
「プロ向けファンド」をご存じだろうか。ファンドの運用というと、真っ先に投資信託会社が頭に浮かぶと思う。投資信託会社は「投資運用業を行う金融商品取引業者」としての登録義務が課せられている。
しかし、これには例外規定がある。あまり規制、登録などというと、金融イノベーションを阻害するという観点から、適格機関投資家等を対象にしたプロ向けファンドについては、登録義務が課せられず、届出のみで業務が行えるというものだ。
このルールを悪用して、一般個人に詐欺的ファンドを組成・販売する業者が急増している。
適格機関投資家等を対象にしているのに、なぜ個人に販売できるのか。「適格機関投資家」ではなく「適格機関投資家等」となっているのがミソで、このルールで言うと、「1名以上の適格機関投資家(プロ)が含まれていることを前提に、49名以下であれば適格機関投資家以外の者(アマ)にも販売して良い」ということになる。
実際には、1名以上の適格機関投資家も含まない状態で販売されたファンドが多数あるという。それらは、最初から金融知識のないアマチュア投資家を騙す目的で販売されているファンドと考えて良い。この手のファンドに対する相談が、国民生活センターなどにも多数寄せられており、いよいよ金融庁も規制強化に向けて動き出した。現在、パブリックコメントを行っており、寄せられた意見を参考にしたうえで、8月1日から改正案が施行される予定だ。この改正案によって、個人に対するプロ向けファンドの販売は、対象者が大幅に絞られることになる。今後、プロ向けファンドに関する個人の被害は、かなり減るだろう。
それにしても、この手の商品による投資詐欺は、相変わらず減らない。騙されてからでは遅いので、投資家自身が自衛する必要がある。自分で理解できない商品には手を出さないというのは、常に言われていることだが、少しでも「おかしい」と思ったら、その業者名をインターネットで検索すると良い。「火のないところには煙が立たない」のと同じで、怪しい業者に対する情報は、インターネット上で結構、流れている。「怪しい」という評価が流れていたら、手を出すべきではないだろう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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