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【小倉正男の経済羅針盤】中国―経済高成長の「予定調和」とその終焉
■バブれる者久しからず・・・
「買うから騰がる、騰がるから買う」――。不動産・住宅、あるいは株式でもバブルとはそうしたものである。
日本の1980年代後半のバブル期にも、そうしたことが語られたものである。
そこにいる人たちが全員とも、「これは騰がる」と買ってしまえば、その全員が潜在的には売り手に変わる。
次の買い手がいなくなれば、「売るから下がる、下がるから売る」になる。かくて市場から熱狂は去り、バブル崩壊ということになる。
人間、わかってはいるが、聖人君子ばかりではないのだから、やってしまう。奢れる者久しからず、いやいやバルれる者久しからず――。
しかし、バブらざる者また久しからず、である。世の中、人も企業も、あるいは国も大きく新陳代謝し、盛衰を繰り返していく。
■高成長の「予定調和」とその終焉
中国の不動産・住宅市場が急激に低迷している、と報道されている。
5月初旬のメーデー連休の中国54都市の新築住宅売買件数が前年同期比47%減に落ち込んだというのである。
中国経済の先行きには、1年以上前から、悲観的な分析・観測が語られている。今回も、中国経済のウオッチャーたちからは、「いよいよ・・・」「ついに・・・」と分析・観測が加えられている。
「鬼城」(=ゴーストタウン)、人が住んでいない高層マンションの林立――。近隣地域に大工場が建設される、そうであるならば大量の労働者が寄り集まってくる、そして人々はマンションを購入するはずだ――。
経済高成長が無限に続くとすれば、マンションへの投資は高い利益を産む。しかし、高成長が止まれば、その「予定調和」は失われる。
■バブル処理・制御で、はじめて大人の資本主義になる
中国は資本も設備も、そして技術・ノーハウも外資企業にすべて依存――。安い労働力だけを武器に経済高成長を遂げてきた。「徒手空拳」とは、まさにこのことにほかならない。
上部構造は共産党独裁の官僚支配、下部構造は資本主義という極端なネジレを起こしながら世界ナンバー2の大国にのし上がった。
上部構造と下部構造を貫くものは「拝金主義」――、経済の好循環時は官僚などへのワイロなども高成長のテコに作用してきた。ワイロのおカネが住宅投資に回るといった具合で、ともあれ資金が循環していたわけである。
共産党独裁下で現代資本主義に付き物のバブルとその崩壊現象に突き進もうとしているかに見える。歴史も進んだというべきか、関西弁でいうケッタイな事が起こるものである。
バブルとその崩壊処理、いわば現代資本主義に付きまとう危機管理(=ダメージ制御)をこなせてはじめて大人の資本主義になる。これは日本(=1990年代のバブル処理に失敗)であれ、中国であれ、言えることである。 (経済ジャーナリスト・評論家、『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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