東電、福島原発地下水の海洋放出を開始

2014年5月24日 11:23

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記事提供元:エコノミックニュース

 4月28日発売号の「週刊ビックコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された人気グルメ漫画「美味しんぼ」の中の、福島第1原発を取材した主人公が鼻血を出すシーンが風評被害を招く表現だとして波紋を呼んでいる。同作品はシリーズ終了に伴い現在休載中であるが、30年以上連載の続く影響力の大きな作品であるだけに、今もまだその余波は収まっておらず、様々な所で議論が巻き起こっている。

 そうした中、21日に東京電力<9501>が福島第1原発の汚染水を減らすために、原子炉建屋に流れ込み汚染される前の地下水の海洋放出を開始した。海に放出される水は、放射性物質濃度が基準値を下回っていることが確認されているものであり、漁業関係者などは水質環境への影響や風評被害などを懸念していたものの、そうした対策をしっかりと行うことを条件に海洋放出を容認していた。

 これは「地下水バイパス」と呼ばれる計画で、浄化装置ALPSや凍土遮水壁といった対策とともに、汚染水対策の主要な計画と位置付けられている。この「地下水バイパス」では、原子炉建屋の山側に掘った12本の井戸よりくみ上げた水が福島第1原発前の海に放出されることとなっており、計画初日の21日には561トンもの水が放出された。

 放出された水はいったんタンクにためられ、東京電力が定めている自主基準値であるセシウム134で1リットルあたり1ベクレルを下回っていることが確認されている。また第三者機関による測定でも基準値を下回っていた。この東京電力が設定している自主基準値は、国の定める規定よりも大幅に低く設定されている。

 そして東京電力は、今後排出予定の水で基準値を超える放射性物質が検出された場合には、井戸からのくみ上げを中止して汚染の状況を監視し、タンク内の水の放射性物質の濃度が基準値を下回っていることが確認されるまで、海洋放出を行わないなどの方針を発表している。

 風評被害対策とは、いわば人の口に戸を立てることである。それゆえに、それは容易なことでない。特に、これまで東京電力が行ってきたように、都合の悪い情報や事故を隠ぺいしていてはなおのことだ。人の口に無用な噂話をのぼらせないようにするためにも、必要な情報はきちんと開示する、そうした姿勢が望まれる。(編集担当:滝川幸平)

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