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【コラム 高田英樹】日本の財政の「真実」:序論(上)
【5月20日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
●増税の必要性
本年4月1日、消費税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられた。増税の直前に、家電や食料品、果てはトイレットペーパーまで駆け込み購入をする人々の姿が多くのメディアで報道されたのは記憶に新しい。
だが、そもそもなぜ消費税率を引き上げる必要があるのか、その本質を理解することが重要だ。社会保障財源を確保するため、そして財政を健全化するため、ということがその説明だが、実際のところ、財政は一体どのような状態なのか。
このコラムでは、今後数回にわたって、日本の財政の実情を解説したい。
図1をご覧いただきたい。
二本の折れ線のうち、上の赤いラインは国の一般会計歳出の総額であり、下の青いラインは税収の総額である。それぞれ「支出」と「収入」と言い換えてもよい。税収がピークに達した平成2年頃までは、歳出と税収がほぼ平行して増加を続けていたが、その後、歳出は右肩上がりで増え続けているのに対し、税収は減少傾向となり、両者の差はどんどん開いてきている。これは、ワニが口を開けた姿にも似ていることから、「ワニ口のグラフ」とも呼ばれる。
歳出が増え続けている主な原因は、高齢化の進展に伴い社会保障費が増加を続けていることである。これに対し、税収は、バブル崩壊後の経済の低迷や、度重なる減税などにより、伸び悩んでいる。この図から一目瞭然なのは、高度成長が終わってからの過去40年ほどの間、税収は常に歳出を下回っていることだ。
税収は経済の状況に応じて大きく変動するが、どの時期においても、景気が良かろうが悪かろうが、一貫して税収は歳出に対し不足している。これは、恒常的に、構造的に、日本の税収調達力が低すぎることを意味していることに他ならない。
しばしば、景気を回復させ、経済を成長させることで財政は健全化できると主張されることがあるが、残念ながらそれだけでは足りない。抜本的に、財政の構造自体を変える取組みを行っていかなければならないことが、この図を見ただけでも、直観的に感じられるのではないか。【続】
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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