東大、長年謎だったカイコの性決定メカニズムを明らかに

2014年5月18日 23:22

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カイコの性決定カスケードモデル(東京大学の発表資料より)

カイコの性決定カスケードモデル(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学の勝間進准教授らによる研究グループは、80年間解明されていなかった、カイコの性決定メカニズムを明らかにした。

 遺伝子学の材料として古くから大きな役割を果たしてきたカイコは、雌がWZ、雄がZZという性染色体(性別を決定する染色体)を持ち、W染色体によって雄を決定することが分かっている。しかし、W染色体のどの遺伝子が性決定の役割を担っているのかまでは明らかになっていなかった。

 今回の研究では、性別が決定する胚発生初期におけるRNA(DNAの一部をコピーしたもの)を調べたところ、ある一つのRNAは常に雌のみで見られることを発見した。また、このRNAが作り出すpiRNAの機能を阻害したところ、雌においても雄型のスプライシング(RNAを必要な箇所のみ切り出して繋げること)パターンを示した。この結果を踏まえて、勝間准教授らは、piRNAが雌性を決める最上流因子であると結論付けた。

 この研究成果は、カイコをはじめとするチョウ目昆虫の性操作技術や新しい害虫防除技術の開発への活用が期待される。

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