東北大、宇宙最大の爆発「ガンマ線バースト」に円偏光があることを発見

2014年5月3日 16:30

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ガンマ線バーストの概念図。宇宙の遠方における突発的な爆発(バースト)から、絞られた爆風が生じる。それが周辺の媒質に衝突することで衝撃波が生まれる。これほど高エネルギーで低密度な衝撃波の性質には不明な点が多い。今回の観測結果は、電子は衝撃波で非等方に加速されており、それが発する光は高い円偏光を持つことを示している。

ガンマ線バーストの概念図。宇宙の遠方における突発的な爆発(バースト)から、絞られた爆風が生じる。それが周辺の媒質に衝突することで衝撃波が生まれる。これほど高エネルギーで低密度な衝撃波の性質には不明な点が多い。今回の観測結果は、電子は衝撃波で非等方に加速されており、それが発する光は高い円偏光を持つことを示している。[写真拡大]

 東北大学の當真賢二助教らは、ガンマ線バースト(GRB)から出る光に円偏光があることを、チリにある望遠鏡を使って発見した。

 ブラックホールが形成されるとき、ガンマ線バーストと呼ばれる爆発現象が起きる。この現象は宇宙最大の爆発現象で、突如ガンマ線を出して爆発を起こした後、可視光・電波・X線といった光を数日間出し続ける。その光は、非常に明るいため、宇宙の端からでも地球に届くという。

 光には、直線偏光と円偏光という振動方向の偏りがあり、ガンマ線バーストから出てくる光には直線偏光があることは既に明らかになっていた。

 今回の研究では、チリにある望遠鏡を使い、ガンマ線バーストから出てくる光に円偏光があることを検出した。これまでの理論(標準理論モデル)では、円偏光は極めて小さいため検出は不可能であると考えられていたため、今回の研究成果はこれまでの理論モデルに修正を迫るものとなった。

 なお、この研究成果は、5月8日のNature誌に掲載される予定だ。

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