シコリ株の整理進み日経平均はボトム圏入り、追加緩和の催促効果も=犬丸正寛の相場展望

2014年4月11日 16:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  週末、日経平均は大きく下げた。よもや下回ることはないとみられていた2月5日の安値1万3995円を割り込んだ。去る、4月4日にNYダウが最高値をつけたにもかかわらず、日経平均はほとんど反応せず軟調な展開となっていたことがあった。

  そこへNYダウが、最高値更新に対する買い疲れから調整安となったことに大きく反応し下げたといえる。やはり、相場の根底には日本個別の材料である消費増税に対する影響懸念があるためといえる。

  しかも、先頃、黒田日銀総裁が今の時点では追加金融緩和の考えがないことを表明したことも響いているといえる。それに、マーケット内部要因的には指標的存在であるトヨタ自動車の株価が大きく崩れたことが投資家心理を一気に悪くしたことがあるといえる。

  しかし、相場の下げることは必ずしも悪い話ばかりではない。『ここで相場が下げることでよって、金融の追加緩和を催促する効果がある。景気の先行指標である株価がこのまま不振となれば次の消費税10%は難しくなる。政策当局はこれまでの静観から追加緩和のタイミングを考慮することになるだろう」(中堅証券)。

  しかも、ウクライナ情勢、中国経済の行方など日本経済を取り巻く状況は楽観できないだけに、マーケットが指摘するようにここでの相場調整は政策当局の身を乗り出させる可能性はあるだろう。ただ、消費税の影響をめぐってはユニクロ、ローソンなど消費関連の一角には影響はほとんどないとの明るい見通しも伝えられているだけに、このあたりをマーケットがどう織り込んでいくかも注目される。

  日経平均が2月安値を下回り年初来安値をつけたことで信用買いの処分売りがかなり出たようでシコリに対する整理は一気に進んだようである。

  テクニカル面でも11日の下げで日経平均の30日線に対するマイナス乖離率は4%を超え株価が下値水準に到達したサインを点滅している。

  日経平均の下値の目処としては、昨年11月の1万3748円、同8月の1万3188円あたりが意識されそうだ。日本経済全体でみれば消費税の影響は避けられないものとみられるが、上場企業ベースでみれば企業々績は堅調である。増益率は鈍化するとはいえ2015年3月期も増益はほぼ間違いないといえる。

  このため、売方は空売りの深追いは避けるところだろう。逆に、好業績銘柄については突っ込み買いの好タイミングといえるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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