企業のIT投資は2極化 全体では横ばいから微減=野村総研

2014年2月28日 17:32

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 野村総合研究所(NRI)は28日、「ユーザー企業のIT活用実態調査(2013年)」の結果を発表した。それによると、日本企業全体のIT投資は、横ばいから微減へと向かっているが、ITがコア技術の企業では増額する企業もあることが分かった。

 また、ITが果たす役割によって、企業を4つのタイプに分けて分析すると、「ITが競争優位につながるコア技術」と考える企業ほど、事業創造や変革へのIT活用と、IT分野での新技術活用に積極的であることがわかったという。

 この調査は、2003年から毎年実施しており、今回は、全業種にわたる599社の大手企業から回答を得た。

 調査では、企業でITが果たす役割によって、「ITが競争優位につながるコア技術でありかつ基幹設備であると考える企業(コア・基幹)」「コア技術であるが基幹設備ではない企業(コア・非基幹)」「コア技術ではないが基幹設備である企業(非コア・基幹)」「コア技術でも基幹設備でもない企業(非コア・非基幹)」(それぞれが当てはまる企業の割合は、33.7%、19.9%、37.9%、7.5%)の4つのタイプに分けて分析した。

「コア技術」:本業を変革または強化する上で、ITが中核となる技術である場合
「基幹設備」:ITが建物、機械、土地、人員と同じように商品やサービスなどを生み出す本業の主要な生産手段となっている場合

 主な調査結果は、下記のとおり。

 日本企業全体のIT投資を2007年度から比較すると、2008年度の金融危機(リーマンショック)で低下して以降、2009年度から2012年度まで増額する企業が増え、緩やかに回復基調だった。その後は横ばいで、2014年度についての予想では、「減らす」と回答する企業の割合が15.6%から18.0%へとわずかに増加している。

図1:日本企業のIT投資の増減推移

日本企業のIT投資の増減推移を示す図

日本企業のIT投資の増減推移を示す図

 タイプ別では、“コア・基幹”で2014年度のIT投資を増額すると回答した企業が40%と他のグループに比較してやや多いものの、増額率は2013年度よりも下がっており、減額する企業も増えている。他のタイプでは、“コア・基幹”よりも増額する企業は少なく、しかも増額する企業の割合が2013年度よりやや減っていた。

図2:IT投資の2013年度増減見込み

IT投資の2013年度増減見込みを示す図

IT投資の2013年度増減見込みを示す図

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