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事故から3年、なぜ日本は“原発回帰”? 政府草案に海外メディア注目
東日本大震災と福島第一原発事故からまもなく3年。政府は25日、原発問題もかかわる、エネルギー基本計画の草案を発表した。
しかし各紙とも、内容は具体性に乏しいと指摘。原発を再稼働させたいが、世論の反対がまだ強すぎる、という政府のジレンマが垣間見えるという。
【火力発電は減らしたいが具体目標なし】
計画は、原子力発電を、低コストで安定した「ベースロード電源」と規定し、その重要性を強調している。化石燃料依存を減らすことによる貿易赤字改善や、二酸化炭素排出抑制の件も持ち出しているようだ。
タイム誌は、原発停止に伴う化石燃料輸入増で、日本の発電コストは50%以上上昇、電力業界のCO2排出量は100万トン増加したと解説している。貿易赤字も、1月は大幅な新記録となっている。
なおフィナンシャル・タイムズ紙は、日本の需要減が世界の燃料市場に影響することや、米国ではシェールガスとの競争に敗れて18ヶ月間に4原子炉が廃止されたことにも言及している。
しかし計画には、いつの時点で日本の発電力構成をどうするのか、という具体性はない。事故前には原子力発電は日本の総発電量の30%近くを占めており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、政府はこれをさらに50%に増やす計画でもあった。太陽光や風力などのクリーン発電は、現在まだ2~3%にしかならない。
【とりあえず「ダツ・ゲンパツ」だけは否定?】
事故後、当時の菅政権は、2040年までに原発を全廃する「脱原発」を約束した。フィナンシャル・タイムズ紙もローマ字で「ダツ・ゲンパツ」と書くなど、世界の注目は大きいといえる。
計画は、ひとまず脱原発方針は否定し、原子力発電復活の可能性だけは残しておこうという意図だと、各紙は受け止めているようである。茂木産業相は、「根拠なしに『非核』を示せば、それは責任あるエネルギー政策とは呼べません」と脱原発を批判した。
【再稼働どころか新炉建設も?】
また、ウォール紙によると、茂木産業相はエネルギー構成の計画について、「どれだけの原子炉をオンラインに戻せるか不透明ですので、何らかのエネルギーミックスを計画することは不可能でした」として、具体化にはまだ時間がかかると釈明したようだ。
しかし各紙とも、本計画は、必要なら再稼働だけでなく新炉建設さえありうることを意味している、と報じている。だとすれば、茂木産業相の説明では不充分とも言えるだろう。またウォール紙は、20年の歳月と1兆円の費用をかけた「もんじゅ」高速増殖炉について、計画は全く触れていないと指摘する。
【果たして世論は緩んできたのか?】
各紙は、東京都や山口県の知事選で原発容認派候補(舛添・村岡新知事)が反対派候補らを破ったことや、再稼働反対の大規模抗議運動が決定的なものにはなっていないことが、安倍政権の背中を押していると指摘する。
とはいえ、ウォール紙によると、フジテレビの世論調査ではなお53%が、一切の再稼働に反対である(ただし政権支持率も53%あるという)。12月の計画草案発表段階では、異例の1万9千件ものパブリックコメントが政府に寄せられた。その結果、今より原発の重要性を強く強調していた文章表現を見直さなければならなかったらしい(計画が歯切れの悪い内容になっている一因でもあるかも知れない)。
さらに、発表と同日、福島原発4号炉で電源ケーブルの誤切断により燃料棒貯蔵プールの冷却が4時間にわたって停止したことも、当局や東電への疑いを一層強めることになりそうだ。
しかしニューヨーク・タイムズ紙は、計画案からすれば、首相は「国民の合意がなくても前進するつもり」であろう、と断じている。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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