嫦娥三号、3度目の月の夜に突入 玉兎号の故障は解決せず

2014年2月23日 20:15

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記事提供元:sorae.jp

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  中国の月探査機「嫦娥三号」の着陸機と、探査車「玉兎号」が、3度目となる月の夜を迎えるのを前に、活動を停止し休眠に入った。

  玉兎号は22日の午後に、続いて着陸機が23日の夜明け頃に休眠に入った。両機がいる月の「雨の海」が夜に入るのは24日7時20分(日本時間)ごろ。月の夜は約2週間続き、次に日が昇るのは3月10日となる。

  一方で玉兎号に発生している故障は解決されていない。またその箇所も明らかにされていないが、前回の休眠後の再起動が予想より遅かったこと、また搭載機器は正常で、観測はできていると伝えられていることからも、故障というのが玉兎号の太陽電池パドル、もしくは車輪といった箇所に発生している可能性が高い。

  嫦娥三号は12月2日に打ち上げられ、14日に月の「雨の海」に到着、その約7時間後に着陸機から玉兎号が発進した。玉兎号は6輪の車輪を持ち、月面を走行し、気になった場所の地質や地下構造を探ることを目的としている。月にローバーが送り込まれるのは、1973年の1973年のルノホート2以来、実に40年ぶりのことであった。

  月面に降り立った後、観測機器に電源が入り、ロボット・アームも起動。本格的な走行も始まり、新華社通信によれば現在までに100mほど移動しているという。その後月に夜が訪れるのに伴い、12月26日からスリープ・モード(休止状態)に入り、月の夜が終わる約2週間後の今年1月11日にスリープ・モードから復帰、16日には月の土の調査を初めて実施している。

  しかし2度目の月の夜を迎える直前の1月25日、中国の新華社通信は「玉兎号に機械的な制御異常が発生した」と報道、その後復旧したとも、あるいはしなかったとも、情報は一切提供されないまま、玉兎号のいる場所は夜を迎えた。月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなる。そのため月面の探査機とってはこの夜を越える技術(越夜技術)が必要となる。この異常というものが越夜に関係しているものであれば、「凍死」する可能性も危惧された。

  だが、現地が夜明けを迎えて数日後の13日、航天局は玉兎号が無事に目覚め、依然として問題は抱えているものの、探査は続行されると発表した。

 ■嫦娥三号探测器再次进入月夜 第三月昼工作正常
http://www.cnsa.gov.cn/n1081/n7529/n308593/618614.html

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