消えない新興国不安、変動率の高まりや不良債権積み上がりなど難題山積

2014年2月13日 09:43

印刷

記事提供元:フィスコ


*09:45JST 消えない新興国不安、変動率の高まりや不良債権積み上がりなど難題山積
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け、新興国の金融市場は落ち着きを取り戻しつつある。議長は量的金融緩和の縮小を継続させる方針を示したものの、「慎重なペースで進める」と明言したことが安心材料になっているようだ。

新興国で恐れられているのは米国の金利急上昇や市場の動揺を受けたボラティリティ(変動率)の高まり。ただ、イエレン議長の発言を受けて、市場では超低金利政策が十分長い期間にわたって継続されるという思惑が強まった。

とはいえ、新興国からの資本流出懸念が完全に払しょくされた訳ではない。英フィナンシャル・タイムス(電子版、12日付)が指摘しているように、現在の比較的落ち着いた市場のボラティリティが世界規模で高まれば、「バリュー・アット・リスク」と呼ばれる損失の最大値の制約が強まり、これが新興国資産を手放す動きにつながる公算が大きくなる。

このほか、新興国では銀行が抱える不良債権が増大しており、これが新興国へのエクスポージャーの大きい欧米金融機関などに打撃を与える可能性がある。

金融危機や米量的緩和で新興国では利下げと融資拡大の流れが加速したが、これが逆流することで利上げと融資焦げ付きという悪循環が発生している。一部の新興国で最近発生した通貨急落に対し、中央銀行が利上げすることで為替相場はいったん落ち着いたものの、これが不良債権の増大という別の形で危機を増幅している。

例えば、インドでは準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁が先月28日に予想外の利上げに踏み切ったが、同国では不良債権問題が深刻さを増しており、政府が積極的に国営銀行に資本を注入する事態となっている。また、デフォルト(債務不履行)を意図的に回避しない「ウィルフル・デフォルター(willful defaulter)」という存在も出てきており、政府が債権管理の厳格化を銀行側に徹底注意している。《RS》

関連記事