【忠田公夫の経済&マーケット展望】NYダウは夏場に向け高値挑戦へ、雇用悪化は一過性

2014年2月12日 12:45

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  1月23日、HSBCの中国PMIが6ヶ月ぶりに49.6と50を割り込んだことから、中国に小麦などの穀物を大量に輸出するアルゼンチンの貿易赤字が膨らむのでは、との懸念で通貨ペソが一時18%安の急落。これを契機としてトルコや南アフリカなど経常収支の赤字を抱える新興国に不安が高まり、先進国のマーケットにおいてもリスク回避の流れが急速に強まった。

  1月22日の日経平均は1万5820円、NYダウは1万6373ドルで引けていたが、翌23日から下げ足を速め、同28日にはそれぞれ1万4980円、1万5928ドルまで下落した。さらに、29日にFOMCでQEの縮小を加速させたことと、2月3日に発表されたISM製造業景況感指数(1月)が予想を大幅に下回ったことなどで、同日のNYダウは1万5372ドル(12月高値から1204ドル安)、翌4日の日経平均は1万4008円(同2283円安)の安値をつけるに至った。

  日経平均の下落幅が拡大したのは、中国PMIが明らかになる前のドル円は104円50銭処だったが、リスク回避に伴い、安全資産と見られる米国債にマネーが流れ、米国債の利回りが2月3日に2.57%まで低下。日米金利差が縮小したため、同日ドル円は一時100円76銭まで円高に振れ、これが日本株の下げを加速させる要因となった。

  一部の新興国の脆弱な状況は尾を引こうが、米国経済の下振れは12月以降の記録的な寒波による一過性のものであることが明らかになりつつあり、1月の雇用統計が予想を下回ったものの、米国株はむしろ悪材料を織り込み上昇した。今週のイエレンFRB議長の初の議会公聴会の内容が注目されるが、日経平均やドル円はすでに厳しい状況を脱し、次第に上昇トレンドを強めていこう。3月にかけて下値固めの動きは予想されるが、夏場に向け高値トライを期待したい。(経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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