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【鈴木雅光の投信Now】投資家が直販ファンドを買うワケ
「直販ファンド」をご存じだろうか。直販というのは直接販売の略称で、証券会社や銀行などの金融機関を通さず、投資信託会社が自社運用ファンドを直接、投資家に販売するものだ。
現在、直販ファンドで最も運用額が大きいのはさわかみ投信で、それに次いでセゾン投信、レオス・キャピタル・ワークスとなっている。
私自身は、直販ファンドが成功するか否かに、日本の投資信託の未来が掛っていると思っている。なぜなら、証券会社や銀行などの販売金融機関に依存した販売体制を持つ、大半の投資信託会社では、本当の意味で長期投資が出来る投資信託を設定・運用するのが難しいからである。
現在、日本の投資信託が設定されてから償還されるまでの平均年数は7年弱。さらに、投資家が保有している平均年数は2.4年と言われている。これが意味するものは何かというと、販売金融機関が手数料を稼ぐため、ひたすら回転売買を勧めているということだ。
これでは、本当の意味で長期投資が出来るファンドが育つはずもない。でも直販ファンドが定着すれば、日本でも長期投資のファンドが本格的に定着する可能性が出てくる。
先般、直販ファンドでは2番目の規模を持つセゾン投信が、ファンドの保有者2402名からのアンケート調査の回答を得た。その内容を見ると、いくつか興味深い点が見られる。
たとえば「セゾン投信を選択した理由」として、長期・分散・ローコストというコンセプトに対して共鳴したことを理由に挙げた保有者が多数を占めた。あるいは、「投資信託を購入する際に留意する点」として、運用成績が上位に来るのは当然だが、販売手数料や信託報酬等の手数料がそれを上回り、さらに他の要因として、ファンドの規模や経営者の姿勢を問うという回答も上位に来た。
単純に金融機関の勧めに応じてファンドを選ぶのではなく、保有者が自主的に選んでいる、何よりの証拠だ。そして直販ファンドが広まれば広まるほど、投資信託業界は正常化に向かうだろう。その希望が感じられるアンケート結果だった。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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