賃金変わらず物価1.3%増 今年の賃上げはあるのか?海外紙も注目

2014年1月31日 17:40

印刷

記事提供元:NewSphere

 31日政府発表のデータによると、12月のコア消費者物価(生鮮食品除く)は前年比1.3%増で、2008年10月の1.9%以来の急上昇となった。ブルームバーグの市場予測中央値は1.2%、11月実績も1.2%、2013年全体では0.4%増であった。

 物価以外では、工業生産が前月比1.1%増と発表された。11月は0.1%の減少であった。また求職者あたりの求人数は1.03に上昇して、2007年10月ぶりに1を超えた。

【輸入コスト増が主因だが消費税の影も】

 変動が激しいためコア指標からは除外されている生鮮食品は、1年間で13.6%、特にキャベツが91.7%急騰しているとブルームバーグは報じた。電力コストも8.2%上昇した。エネルギーコストも除く「コアコア」指標では、年間で0.7%増なのに対し、12月は0.3%増にとどまる。

 この間、円は18%下がっている。原発停止で燃料輸入量が増えている上、円安でその価格が一層膨れている形だ。さらに4月からの消費税増税で駆け込み需要が発生しており、企業も輸入コスト増や増税を理由に、こぞって値上げを表明していると報じられている。インフレ傾向自体を理由にした値上げがないのかどうかについては、触れられていないようだ。

【2年で2%の公約はどうか】

 各紙は、昨年の大規模金融緩和から2年で2%インフレさせるという、日銀の公約に触れている。すでにその目標は中間点を超えたことになり、黒田総裁も達成に自信を示しているが、ロイターによるとアナリストらや、さらに国際通貨基金も、ここから先はインフレは鈍化するだろうと懐疑的だ。円安が頭打ちになることや、消費税増税後に消費が冷え込むことが予想されるためだ。

【賃金増が伴わない悪性インフレ】

 ブルームバーグが調査した36エコノミストのうち19人は、各種指標の好調を理由に、日銀は今年上半期のうちは追加緩和を行わないと予想している。しかし同紙は賃金上昇がインフレに追いついていない現状を指摘する。

 専門家らは「今企業には、利益を賃金上昇や設備投資に回す責任があります」と訴え、経済成長、企業増益、賃金上昇、消費拡大という好循環が続くかどうかは、来たる春闘の結果にかかっていると言う。安倍首相は12月、そのような「好循環に可能な限り早く入りたい」と表明し、9月以来5度にわたって経営者や労組らと賃金交渉を重ねている。

■関連記事
“1%じゃダメなんですか?”強気の黒田総裁に海外から冷めたツッコミ
黒田総裁は楽観しすぎ? 日銀の経済予測に海外紙から疑問
黒田総裁、まだ強気の政策維持 海外紙が指摘する不安要素とは
“消費増税で日本経済失速の危機に” ノーベル賞スティグリッツ教授が警告
日銀、「2%」目標は達成できるのか? 消費税増税で追加緩和求める声も
海外投資家「日本のベンチャー企業への投資はリスク」 その理由とは
なぜ日本経済は減速したか 海外紙は企業の人件費・設備投資が課題と指摘
ラガルドIMF専務理事が世界経済のデフレ危機を警告 日本には「もっとできることがある」

※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。

関連記事