アトラスVロケット、偵察衛星NROL-39を打ち上げ

2013年12月12日 20:30

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記事提供元:sorae.jp

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  ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は12月5日、米国家偵察局の偵察衛星NROL-39と、12機の小型衛星を搭載したアトラスV 501ロケットを打ち上げた。

  アトラスV 501は、太平洋標準時12月5日23時14分(日本時間12月6日16時14分)、カリフォルニア州にあるバンデンバーグ空軍基地のSLC-3Eから離昇した。ロケットは順調に飛行し、打ち上げは成功したと発表された。

  NROL-39は米国家偵察局(NRO)の偵察衛星であるということ以外、一切情報は明らかにされていないが、多くの専門家によればトパーズ(TOPAZ)と呼ばれるレーダー偵察衛星であると見られている。

  トパーズは合成開口レーダーによって地上を偵察する衛星で、合成開口レーダーは光学センサー(カメラ)と比べ分解能は劣るが、雲があったり、また夜間でも地上を撮影することが可能だ。合成開口レーダー自体は多くの地球観測衛星でも使われている技術だが、トパーズのそれは、分解能1m未満という極めて高い性能を持っているとされる。

  NROはかつて、ラクロス(オニックス)と呼ばれるレーダー偵察衛星を、1988年から2005年にかけて合計5機打ち上げており、現在も3機が運用されているものの老朽化しつつあり、トパーズによってこれらを代替しようとしている。トパーズは2010年9月21日にその1号機が、2012年4月3日に2号機が打ち上げられたと見られており、両者はともに高度1,100km、傾斜角123度の軌道を周回していることが、アマチュアの衛星ウォッチャーによって確認されている。

  トパーズはかつてはFIA-R(Future Imagery Architecture – Radar)と呼ばれていたが、今年8月、元CIA職員のエドワード・スノーデン氏が米ワシントン・ポスト紙にリークした資料によって、公式にはトパーズと呼ばれていることが明らかになった。

  今回の打ち上げでは、ロケットの余剰能力を活かして、計12機の小型衛星が搭載された。

 ・AeroCube 5A、5B: ジ・エアロスペース・コーポレーション
・ALICE(AFIT LEO iMESA CNT Experiment): 米空軍技術研究所
・CUNYSAT-1(City of New York Satellite): ニューヨーク市立大学
・FIREBIRD-A、B: ミシガン・スペース・グラント・コンソーシアム
・IPEX(Intelligent Payload Experiment): NASA/ジェット推進研究所
・M-Cubed-2: ミシガン大学
・SMDC-ONE 2.3、2.4: 米陸軍宇宙&ミサイル防衛コマンド
・SNaP(SMDC Nanosatellite Program): 米陸軍宇宙&ミサイル防衛コマンド
・TacSat 6(Tactical Satellite 6): ORS局、米陸軍宇宙&ミサイル防衛コマンド

  今回打ち上げに使われたアトラスVは501構成で、これは直径5mの衛星フェアリング、ストラップ・オン・ブースターは装着せず、セントール上段のRL-10A4-2ロケットエンジンが1基、ということを意味している。アトラスVはロッキード・マーティン社によって開発されたロケットで、打ち上げは今回で42機目となり、2007年に一度予定より低い軌道に衛星を投入してしまった以外は、安定した成功を続けている。

 ■:::: United launch Alliance, LLC :::: - 163
http://www.ulalaunch.com/site/pages/News.shtml#/163/

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