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【小倉正男の経済羅針盤】猪瀬都知事―徳洲会5000万円事件のトラジコメディ
猪瀬直樹都知事が徳洲会から5000万円を受領――。
最初は「知らない」、その後に「選挙資金」、さらには「個人的な借金」と釈明が変わりしどろもどろ。
今年の流行語でいうと、「じぇじぇじぇ」と呆れ驚くしかない。
猪瀬知事は、徳洲会からのカネまみれの「お・も・て・な・し」にまさかバレることはないとやってしまったのだろうか。
一度合っただけで5000万円を出すほうも出すほうだが、受け取るほうも受け取るほうだ。
猪瀬都知事は、「親切な人だ」と。自分でも適切な表現ではないと思ったのか、困ったような笑いを浮かべた。 「親切な人」とは、徳田虎雄理事長(当時)、徳田毅衆院議員を指している。
■徳田虎雄「取材したいなら新幹線でも何でも付いて来い」
その昔の1970年代後半――。徳田虎雄の事務所で取材したことがある。
徳田虎雄は、「医療改革」を旗印に売り出し中で、政治に乗り出す直前の時期だった。 事務所では、大勢のアルバイトが動員されていた。山のように積まれた徳田の著書を紙袋に詰めて、送付作業が進められていた。
徳田虎雄は、昼飯を食べながら、「取材したいなら、新幹線でも何でも付いて来い」と。自分は大物だ、というわけだが横柄そのもの。こんな人は見たことがなかった。
昼飯を食べる時間があるのだから、いま取材できないことはない――。「ふざけるな」、こちらも若かったから、怒鳴りあいになり、取材はそこで終わってしまった。
■見たくもないトラジコメディ
徳田虎雄の事務所は、人々で溢れていた。陳情の人たちであった。
地方は病院が足りなくて困っているということで、地方自治体などの首長などが病院誘致に訪問――。「(ウチの地域に)来てくれ、来てくれ」で列をなしてお願いに来ている。 銀行は「お金を借りてくれ」、ゼネコンは「建てさせてくれ」。みんなペコペコしてお願いの態であった。
あれからかれこれ30年超――、はしなくも猪瀬都知事の徳洲会からの5000万円事件。 舌鋒鋭いはずの猪瀬都知事が大汗をかいて陳弁に次ぐ陳弁。事実によって、“倍返し”を受けている。
この見たくもないトラジコメディ――、すべてはヒューマン・ファクターによるというしかないのだろうか。(文中敬称略)
(経済ジャーナリスト&評論家・小倉正男=東洋経済新報社・金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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