【アナリスト水田雅展の株式&為替相場展望】米11月雇用統計を好感して円安・株高の流れが加速、米の金融相場から業績相場へ転換が注目

2013年12月8日 13:55

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<株式&為替相場展望>(12月9日~13日)

  来週(12月9日~13日)の株式・為替相場は大勢としての円安・株高基調に変化はなく、米11月雇用統計に対する米国市場の反応を好感して円安・株高の流れが加速しそうだ。外国為替市場でのドル・円相場、株式市場での日経平均株価、TOPIXいずれも5月の高値を試す展開だろう。年末高に向けて動き出す可能性もありそうだ。

  前週末6日に発表された米11月雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比20.3万人増加となり市場予想の同18.5万人増加を大幅に上回った。また失業率は7.0%で同0.3ポイント改善した。この結果を受けて外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=102円80銭~90銭近辺まで円安方向に傾き、株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比198ドル69セント(1.26%)高と急反発して1万6000ドル台を回復した。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が市場予想以上に高水準だったことも好感された。

  雇用情勢の改善が鮮明になったことで、米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和縮小)観測が強まり、同時に米景気拡大を好感する形となった。来年1月~2月にかけて米暫定予算や米連邦債務上限引き上げ問題の期限を迎えることもあり、テーパリング開始時期については今年12月、来年1月、来年3月と見方が分かれるが、もはや開始時期が前後することは問題ではなく、12月17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)とバーナンキ米FRB議長の記者会見を待たずして、テーパリング開始を織り込んだ可能性もありそうだ。

  強すぎる米雇用統計の結果とテーパリングの早期開始が、米長期金利の急激な上昇と米国株の調整局面入り、そして世界的なリスクオフの動きに繋がりかねないとの警戒感が根強くあったが、こうした警戒感が一旦は後退する。米国株が金融相場から業績相場へ順調にシフトするかどうかが今後の焦点だが、日本市場では当面は安心感が広がるだろう。

  また日本株に関しては、前週の調整でテクニカル面の過熱感が緩和されて、上値を取りに行きやすい状況だろう。週末13日の先物・オプション12月限メジャーSQ(特別清算指数)算出に向けて思惑も交錯するが、仕掛け的に買い上がる動きも見られそうだ。物色面では全体底上げの展開が想定されるだけに、信用売り残が高水準の銘柄の踏み上げの動きに注目しておきたい。

  その他の注目スケジュールとしては、9日の日本10月経常収支、日本7~9月期GDP2次速報値、日本11月景気ウォッチャー調査、中国11月PPI・CPI、10日の日本10月第3次産業活動指数、日本10~12月期法人企業景気予測調査、日本11月マネーストック、日本11月消費動向調査、中国11月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、11日の日本10月機械受注、日本11月企業物価指数、12日のユーロ圏10月鉱工業生産、米11月輸出入物価、米11月小売売上高などがあるだろう。

  その後は16日の日銀短観12月調査、ユーロ圏12月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、18日の日本11月貿易統計、米9月・10月・11月住宅着工件数、19日~20日のEU首脳会議、20日の日銀金融政策決定会合、米第3四半期GDP確報値などが予定されている。(アナリスト&ジャーナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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