【水田雅展の為替&株式相場展望】円安・株高基調だが、6日の米11月雇用統計を睨んで波乱含みも

2013年12月1日 12:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<為替&株式相場展望>(12月2日~6日)

  来週(12月2日~6日)の株式・為替相場は、大勢としての円安・株高基調に変化はないだろう。株式市場では日経平均株価が5月23日に付けた取引時間中の高値を突破するかが注目される。ただし週末6日に米11月雇用統計を控えているうえに、売買代金の盛り上がりに欠ける状況では、思惑や仕掛け的な動きで一時的に波乱含みの可能性もあるだろう。米国株の反落に対する警戒感にも注意しておきたい。

  前週は週後半に、外国為替市場で円安が進行して1ドル=102円台、1ユーロ=139円台まで円が下落した。そして株式市場でも円安を好感する形で買いの動きが強まり、11月28日には日経平均株価が終値ベースでの年初来高値を更新した。基本的には前週の円安・株高の流れに大きな変化はないだろう。

  当面の関心は米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和縮小)開始時期である。11月14日の米上院銀行委員会公聴会でのイエレン米FRB副議長の発言を受けて量的緩和の長期化観測が優勢になったが、11月20日公表の米FOMC(連邦公開市場委員会)10月29日~30日開催分議事録を受けて早期のテーパリング観測も台頭している。

  為替に関しては量的緩和長期化ならリスクオンで円売り、12月FOMCでのテーパリング開始なら米長期金利上昇と日米金利差拡大で円売り、いずれにしても円売りという基本的なシナリオに変化はないだろう。6日の米11月雇用統計の結果次第では、17日~18日の米FOMCと記者会見に向けて一段と円安が進行する可能性もありそうだ。

  米国株に関しては量的緩和長期化ならリスクオンで株高だが、史上最高値更新中のダウ工業株30種平均株価とS&P500株価指数は8週連続で上昇しており、一本調子の上昇に対する警戒感も強まっている。一旦は利益確定売りが優勢になって反落に転じてもおかしくない状況だ。そして12月FOMCでのテーパリング開始なら米長期金利上昇を嫌気する可能性があり、金融相場から業績相場へのシフトが焦点となる。

  日本株に関しては、大勢としては円安と米国株高を好感する流れだろう。日本の追加金融緩和に対する期待感も急速に高まっており、一段の円安進行は輸出関連企業の業績上振れ余地を広げることになる。ただし売買代金は高水準とは言えず、なんとなく盛り上がりに欠けることが気がかりだ。先物主導での日経平均株価という指数だけの上昇という見方も根強いだけに、円安進行が一服して米国株の利益確定売りが優勢になった場合には、日本株にも一時的に影響しそうだ。

  物色面では、為替が1ドル=103円台へと円安進行した場合には、自動車や電機・精密など主力の輸出関連が注目される。ただし6日の米11月雇用統計を控えて、為替の円安進行一服や米国株の上昇一服などで様子見ムードを強める可能性も高いだけに、出遅れ感の強い銘柄や材料系の銘柄の個別物色に引き続き注目したい。

  その他の注目スケジュールとしては、2日の米10月建設支出、米11月ISM製造業景気指数、3日の日本10月毎月勤労統計、日本11月マネタリーベース、豪中銀理事会、中国11月非製造業PMI(国家統計局)、4日の中国11月サービス部門PMI(HSBC)、ユーロ圏第3四半期GDP改定値、米10月貿易収支、米10月新築一戸建て住宅販売件数、米11月ADP全米雇用報告、米11月ISM非製造業景気指数、米地区連銀経済報告、4日~5日の英中銀金融政策委員会、5日のECB理事会と記者会見、米第3四半期GDP改定値、6日の独10月鉱工業受注、米10月個人所得・消費支出、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。その後は8日の中国11月貿易統計、9日の日本10月経常収支、日本7~9月期GDP2次速報値、中国11月PPI・CPIなどが予定されている(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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