【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】円安・株高基調だが、米国株反落に対する警戒感で目先はモミ合い想定

2013年11月24日 21:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■株式・為替相場展望(25~29日)

  来週(11月25日~29日)の株式・為替相場は、売り買いが交錯するモミ合い展開を想定する。三角保ち合いを放れたことで大勢としての円安・株高基調に変化はないが、材料面では重要イベントの谷間であり、米国株の反落に対する警戒感も強まりそうだ。

  焦点は米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和縮小)開始時期で、12月6日の米11月雇用統計、12月17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)まで思惑が交錯するだろう。最近の流れを整理すると、11月14日の米上院銀行委員会公聴会でイエレン米FRB副議長がテーパリングに関して、景気・雇用情勢の持続的回復を見極める姿勢を示したことで量的緩和の長期化観測が強まり、世界の金融市場でリスクオンの流れが加速した。

  そして11月20日には米FOMC10月29日~30日開催分議事録が公表されて、12月17日~18日の米FOMCでのテーパリング開始という観測が強まり、米長期金利が上昇して外国為替市場では1ドル=101円台までドル高・円安方向に傾いた。この後は重要イベントに向けて、要人発言や主要経済指標も材料視されて思惑が交錯しそうだ。

■『円売り』が基本的シナリオ

  為替に関しては、一時的な季節要因やヘッジファンドの仕掛け的な動きに注意が必要だが、量的緩和長期化ならリスクオンの円売り、12月FOMCでのテーパリング開始なら米長期金利上昇と日米金利差拡大に伴う円売り、いずれにしても円売りというのが基本的なシナリオだろう。ただし米国株に関しては量的緩和長期化ならリスクオンの株高だが、12月FOMCでのテーパリング開始なら米長期金利上昇を嫌気する可能性があり、金融相場から米景気回復に伴う業績相場へのシフトが焦点となる。

  こうした為替と米国株の動きに対して日本の株式市場は、大勢としては円安と米国株高を好感する流れだろう。前週末22日のダウ工業株30種平均株価とS&P500株価指数が史上最高値を更新し、CME日経225先物(円建て)は1万5530円に上昇した。外国為替市場でドル・円相場は小動きだったが、ユーロ・円相場は1ユーロ=137円台に円が下落した。この動きを受けて来週初25日の日本株は堅調なスタートとなりそうだ。

  ただし前週(11月18日~22日)の日本株は全体として上値の重さが目立った。前々週(11月11日~15日)に日経平均株価が1079円12銭(7.66%)上昇したことで、急ピッチの上昇に対する反動が意識されたようだ。そして来週も同様に反動が意識され、前週まで7週連続の上昇となったダウ工業株30種平均株価が常識的には一旦反落するとの警戒感が強まるだろう。

  NT倍率(=日経平均株価÷TOPIX)が一段と上昇していることや、為替が1ドル=100円~101円台と円安に傾いたにもかかわらずトヨタ自動車の値動きの鈍いことが印象的であり、足元では日経平均株価という指数だけが上昇しているとの見方も強い。したがって、足元の日経平均株価の上昇を牽引したソフトバンクと、円安にもかかわらず動きの鈍いトヨタ自動車の値動きが焦点となりそうだ。前週末22日に2兆9022億円と膨らんだ東証1部市場の売買代金が高水準を維持するかも注目される。

  物色面では、為替が1ドル=102円台へ一段と円安方向に傾けば自動車や電機・精密など主力の輸出関連が注目されるが、全般モミ合い感を強める可能性があり、出遅れ感の強い銘柄や材料系の銘柄の個別物色に注目したい。なお28日は米国市場が感謝祭で休場となり、29日は米国のクリスマス商戦がスタートして小売企業が黒字になる「ブラック・フライデー」を迎える。ゲーム関連など米国のクリスマス商戦関連が注目される可能性もあるだろう。

  その他の注目スケジュールとしては11月25日の米10月住宅販売保留指数、26日の米9月FHFA住宅価格指数、米9月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米9月・10月住宅着工件数、米11月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、27日の独12月GfK消費者信頼感指数、米10月シカゴ連銀全米活動指数、米10月耐久財受注、米10月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米11月シカゴ購買部協会景気指数、28日のユーロ圏11月景況感・業況感指数、29日の日本10月全国・11月東京都区部消費者物価指数、ユーロ圏11月消費者物価指数速報値などがあるだろう。

  その後は12月3日の豪中銀理事会、4日のOPEC総会、ユーロ圏第3四半期GDP改定値、4日~5日の英中銀金融政策委員会、5日のECB理事会と記者会見、米第3四半期GDP改定値、6日の米11月雇用統計、9日の日本7~9月期GDP2次速報値、17日~18日の米FOMCと記者会見などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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