【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】5月高値に向けた展開、円安・株高の流れ継続、投資マインド改善

2013年11月17日 13:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式・為替相場展望】(18~22日)

  来週(11月18日~22日)の株式・為替相場は、前週に強めた円安・株高の流れを継続しそうだ。材料面では重要イベントの谷間となるが、チャート面での三角保ち合い放れや、需給面での信用高値期日通過などで投資マインドが改善し、日経平均株価は5月高値に向けた動きだろう。

  前週は米国株の続伸を受けて週初から安心感が広がり、リスクオンの流れで円安・株高の動きを強めた。さらにイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)副議長が議会公聴会に向けて13日に声明案を公表し、14日の米上院銀行委員会公聴会では、量的緩和縮小に関して景気・雇用情勢の持続的回復を見極める姿勢を示した。これを受けて量的緩和の長期化観測が強まり、世界の金融市場でリスクオンの流れが一段と加速した。

  14日の海外市場では1ドル=100円台前半に円が下落し、15日の日本市場では日経平均株価が1万5200円台まで上昇する場面があった。さらに15日の米国市場ではダウ工業株30種平均株価が3日連続で史上最高値を更新し、CMEの日経225先物(円建て)は1万5305円まで上昇した。

  こうしたリスクオンの流れを受けて、来週の日本市場では投資マインドが改善して円安・株高の流れを継続しそうだ。20日の米FOMC(連邦公開市場委員会)10月29日~30日開催分議事録公表と、20日~21日の日銀金融政策決定会合が注目イベントとなるが、日銀金融政策決定会合に関しては金融政策変更の可能性が小さく、もし追加緩和に踏み切ればポジティブサプライズとなる。

  ダウ工業株30種平均株価が6週連続の上昇となったため一旦は自律反落の可能性があり、日経平均株価も前週は1079円12銭(7.66%)上昇したため、急ピッチの上昇に対する警戒感が意識されるのは当然だ。三中全会を終えた中国の動向にも注意が必要となる。

  しかし投資マインドが改善して、日本株に対する先高期待が強まりそうだ。企業業績に関しては、ドル高・円安進行で輸出企業を中心に一段の上振れ期待が高まるだろう。チャート面で見れば、ドル・円相場も日経平均株価も三角保ち合いから、円安・株高方向への保ち合い放れを鮮明にしている。

  さらに需給面で見るとヘッジファンドの決算対策売りが和らぎ、5月の信用高値期日も通過する。年内の証券優遇税制廃止に伴う利益確定売りも、相場全体の先高期待が強まれば、利益確定後すぐに買い直す動きとなりそうだ。規制緩和で空売り比率が高水準であり、踏み上げの動きが強まる可能性があるだろう。売買代金がどの程度増加するかも焦点だ。物色面では、好業績ながら出遅れ感の強い銘柄を見直す動きに注目したい。

  その他の注目スケジュールとしては、18日の中国10月住宅価格、ユーロ圏9月経常収支・貿易収支、米11月住宅建設業者指数、19日の独11月ZEW景況感指数、19日~20日の日本・EU首脳会議、20日の日本10月貿易統計、米10月小売売上高、米10月消費者物価、米10月中古住宅販売件数、21日の中国11月製造業PMI速報値(HSBC)、ユーロ圏11月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米11月フィラデルフィア地区連銀業況指数、21日~22日の中国・EU首脳会談、22日の独11月IFO業況指数などがあるだろう。

  その後は11月26日の米10月住宅着工件数、29日の日本10月全国・11月東京都区部消費者物価指数、12月17日~18日の米FOMCなどが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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