医師の9割が安全性を懸念する「医薬部外品」って何?

2013年11月6日 14:47

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記事提供元:エコノミックニュース

 この夏、カネボウの化粧品を使った人の肌がまだらに白くなる被害が話題を呼んだ。被害者数は1万5000人以上で、今も増え続けている。被害を受けた人の中には、化粧品が原因とは気づかずに使い続けていたケースも多いという。

 問題の美白化粧品には、「医薬部外品有効成分」であるロドデノールが含まれていた。厳密にいえば「化粧品」ではなく、「医薬部外品」の健康被害ということになる。なんとなく効果がありそうな「医薬部外品」だが、安全性に問題はないのか。

 医薬部外品とは「医薬品」と「化粧品」のちょうど中間にあたるもの。病院で処方される薬や薬局で買える頭痛薬などのように、はっきりした治療・予防の効果はない。ただし、体に対して穏やかな作用があるとされている。効果は人によってまちまちであり、成分表示の義務も医薬品に比べて緩いのが実情だ。医薬品でもなく化粧品でもない「医薬部外品」。美白化粧品や制汗スプレー、ベビーパウダー、脱毛クリームに入浴剤など、その多くは私たちが日常的に使っているものだ。

 だがメドピア株式会社の調査では、実に9割もの医師が、医薬部外品の安全性を懸念しているという。同社によると、医薬部外品に関するアンケートに回答した医師3195名のうち、81.9%が「医薬部外品は安全性に問題を抱える場合がある」、10.3%は明確に「安全性に問題がある」と答えた。

 医師たちからは「医薬部外品は厳密な臨床試験が行われていない」、「厳しい治験を経た医薬品でさえ副作用があるのに、安全であるはずがない」、「ある程度の臨床検査の義務化や一定の基準を設けるべき」といった、安全性が不十分なので法による規制強化を、とのコメントが相次いだ。安全性に問題があっても、「医薬部外品」なのだからその問題は消費者が受け止めるべき、という厳しい意見も目立つ。

 手軽に購入できるとはいえ医薬部外品は、使った結果、健康に害があっても、多くの場合は自己責任になってしまう。カネボウ化粧品の責任は重いが、消費者側も賢くなる必要がありそうだ。(編集担当:北条かや)

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