決算発表最中の相場のモタつきは気になる、先行きに不安の芽を感じ取る=犬丸正寛の相場展望

2013年11月1日 16:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  堅調だった日経平均は週末(1日)に195円安の1万4126円まで下げた。しかし、フシ目の1万4000円を割り込んだということではないから相場が崩れたということではない。ただ、相場の味ということで気になるのは好決算発表が伝えられる中での下げということである。

  これは、どういうことだろうか。考えられることとしては、(1)全体としては好調な決算でも、詳細に見れば芳しくない銘柄が目立つ、(2)とくに、マーケットを代表するような銘柄の業績が冴えない、(3)日頃、あまりウオッチされていないような銘柄が好調である。アベノミクス効果で全銘柄そろって好調が期待されていたのに刃こぼれが生じている、(4)好調な決算はこれまでの相場にかなり織り込んでいた、(5)好調な中にも先行きに対し不安の芽を感じとっているーーといったことが指摘されている。

  相場の推進薬となった円安が進んでいないこともある。今年5月に日経平均が1万5942円の場中高値をつけたときは、円相場がすぐにでも1ドル・110~120円になりそうだとみられたが、いっこうに円安は進まず、逆に円高傾向となっている。

  しかも、東証1部出来高が4月の月間で約905億株、5月980億株、6月665億株と、高値圏のこの3ヶ月間だけで合計約2550億株の出来高となっている。その後、出来高はあるていど伴ってはいるが、高値圏での食べ過ぎ状態はまだ完全に消化されたとはいえない状況であり胃もたれ感が続いている。

  こういった食欲の出にくい状況の中で、先行きの不安の芽が指摘されている。(1)来年4月の消費税引上げ後の消費減退による景気落ち込み、(2)エネルギー、原材料、人件費等の上昇による収益圧迫、(3)アメリカ、中国、さらにヨーロッパの先行き経済不安――などが、企業業績の頭を押さえそうだと心配されている。

  足元では企業業績全体としては好調なだけに相場の大きい下げはないとみてよいだろう。株価は半年先を読むと言われる。しかし、どのていど織り込むかである。現時点で来年4月からの景気急落を見込むのは大袈裟すぎる。現時点では、「4月からはなんとなく景気の腰が重くなりそうだ」というていどだろう。だから、今の相場が上値重い展開ということだろう。当面は、先行きの不安を頭の隅に置きながら現実の業績好調を買う相場の展開とみられる。

  今年4~6月の高値圏のシコリが完全にはほぐれていないだけに、当時、商いを伴って大きく買われた主力株よりもシコリ感の少ない中小型の業績の良い銘柄が注目される展開とみられる。日経平均は1万4000~1万4500円のモミ合いとみられる。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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