関連記事
【話題】遅れていた米・雇用統計発表
■量的緩和縮小は先送り、世界の株式市場の支援材料
米労働省は10月22日、延期されていた9月雇用統計を発表した。市場予想を下回る弱い内容だったため、米FRB(連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和縮小)開始時期が先送りとなる見方が有力になっている。
9月の失業率は7.2%だった。8月の7.3%から0.1ポイント改善して08年11月以来の低水準だった。しかし市場が注目する非農業部門雇用者数は14.8万人増加にとどまった。8月改定値19.3万人増加(16.9万人増加から上方修正)を大幅に下回り、市場予想の18万人増加も大幅に下回った。
この結果を受けて米国市場では、米国債価格は上昇(利回りは低下)、為替はややドル売り、株式は上昇という反応を示した。米財政問題を巡る議会対立や16日間にわたった政府機関一部閉鎖の影響を見極める必要があるため、FRBのテーパリング開始時期が来年以降に先送りとの見方が広がったようだ。
21日にはエバンズ米シカゴ連銀総裁が米CNBCテレビに出演して、テーパリング開始時期について「10月29日~30日のFOMC(連邦公開市場委員会)は困難」「雇用改善や成長率の加速を見極める必要があり、判断には数カ月かかる」と述べている。そしてバーナンキFRB議長の後任にイエレン副議長が指名されたこと、9月雇用統計が弱い内容だったことも合わせて、テーパリング開始時期は14年第1四半期(1月~3月期)との見方が有力になっている。
ただし、この時期には14年2月7日まで問題を先送りした連邦政府債務上限引き上げ問題が控えている。相変わらず政治の機能不全となって期限までチキンレースを繰り広げる可能性もあるだけに、14年第1四半期にFRBがテーパリング開始に踏み切ることは難しいだろう。11月7日に発表予定となった13年第3四半期(7~9月期)GDP速報値など今後の主要経済指標しだいだが、テーパリング開始時期は14年第2四半期(4月~6月期)以降に先送りされる可能性が高まっている。
セオリーどおりなら米国の量的緩和が長期化することは、ドル・円相場にとっては膠着感を強める要因だが、世界の株式市場にとっては支援材料だろう。日本の株式市場は、売買代金を見ても盛り上がりに欠ける地合いが続いているが、依然としてドル・相場の膠着に連動する地合いが続くのか、あるいは世界株高の流れに乗って5月に付けた年初来高値を突破できるのかが注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・【編集長の視点】ファルテックは2Q決算発表を先取り、公開価格水準から超割安修正に仕切り直し(2013/10/18)
・【狙い場・買い場】大和小田急建設は陽性的調整で反発も早い、65%増益も支援(2013/10/18)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク