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(香港)米ドルへのペッグ制30周年、医者も弁護士も買えないマンション価格に
*10:36JST (香港)米ドルへのペッグ制30周年、医者も弁護士も買えないマンション価格に
香港ドルが米ドルとのペッグ制を開始してから30周年の節目を迎えました。ペッグ制は住宅価格の急騰など様々な弊害を引き起こしたのも事実ですが、アジア通貨危機やリーマンショックなど、過去に発生した幾多の危機を乗り越えられた功績も見逃せません。
香港が米ドルとのペッグ制を採用したのは1983年のこと。当時は英国領だった香港ですが、英国と中国が香港返還に向けた交渉を進めるに連れて香港の将来に対する不満が高まりました。
当時の香港ドルはフロート制度を採用していましたが、83年9月には2日間だけで13%下落し、1米ドル=9.60香港ドルの過去最安値を更新。香港市民はさらなる通貨下落を恐れ、スーパーや八百屋に長蛇の列を作って食品などを買い漁ったといいます。こうした中、香港政府は10月17日、通貨安定を名目に1米ドル=7.80香港ドルに固定することを決定しました。
さて、ペッグ制を採用することで、同時に金利も米国に追随することになります。米国では超低金利政策が継続しており、当然、香港でも低金利状態がここ数年間続いています。
これが不動産市場の急騰を促しており、例えば香港島の50平方メートル(平米)の新築マンションの価格は日本円で約1億3000万円に!医者や弁護士など現地でも高給取りの職業でも買えない値段まで吊り上げられています。
過去には香港金融管理局(HKMA)などが通貨バスケット制度や完全なフロート制度、あるいは人民元とのペッグ制度などへの移行を提唱したこともありましたが、現在のところ実現には至っていません。香港政府のジョン・ツァン財政長官はペッグ制について、「変える必要もないし、意図もない」と発言。
住宅価格はどこまで伸びるのでしょうか?
(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》
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