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【話題】経団連会長の前向き発言、賃金引上げ本格化の可能性
■経団連会長の前向き発言、賃金引上げ本格化の可能性
経団連の米倉弘昌会長は10月10日、茂木敏充経済産業相との会談で「アベノミクスで得られた企業収益の改善を、従業員の賃金引き上げや取引先企業の支援という形で還元してほしい」と求められたのに対して、「雇用の創出や報酬の引き上げにつなげたい」と述べて賃金引き上げに前向きに取り組む姿勢を示した。そして14年春闘での経営側指針となる経営労働政策委員会報告(経労委報告)に、業績が好調な加盟企業に対して従業員の賃金引き上げを求める内容を盛り込む方針も明らかにした。
従業員の賃金引き上げに関しては個別企業でも、10月8日にローソン <2651> の新浪剛史CEOが、グループの20~40歳代の正社員約3300人のほぼ全員を対象に「14年度も年収を2~3%分引き上げたい」と述べている。さらに10月10日にはファーストリテイリング <9983> の柳井正会長兼社長が、決算発表時に「景気が良くなると優秀な人材は賃金の高い所に移る、したがって優秀な人材を確保するためには賃金の上昇は避けられない」と述べ、賃金引き上げは不可避との考えを示している。
人手不足感が強まっていることを背景として、派遣やアルバイト・パートの平均時給も、フード系や製造・物流・清掃系を中心に上昇傾向を強めている。求人情報大手のリクルートジョブズが9月20日に発表した「13年8月アルバイト・パート募集時平均時給調査」によると、三大都市圏(首都圏・東海・関西)の8月の平均時給は951円となり、前年同月比で4円増加(2カ月連続の増加)、前月比で5円増加した。職種別に前年同月比で見ると、フード系が11年11月から22カ月連続の増加、製造・物流・清掃系が12年2月から19カ月連続の増加となった。
業績改善分を賃金引き上げに反映させる手段としては、当面は賞与増額や一時金などで対応する企業が多いとみられるだけに、賃金全体を底上げするベースアップにつながるかどうかは不透明感もある。ただし年収ベースでの所得増加となることに違いはない。
いきなり中小企業の従業員の賃金が増加するわけではないが、大企業の従業員から始まる所得増加が消費増加に繋がれば、いずれは中小企業も含めたベースアップや雇用増加に繋がって好循環入りとなるだけに、日本経済再生に向けたアベノミクスが一歩前進することになる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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