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【話題】明言なく失望感の法人税実効税率引下げ
安倍晋三首相の消費増税実施の正式表明から一夜明けた10月2日、日本の株式市場は大幅に下落し、株安につられる形で外国為替市場でもドル安・円高方向に傾いた。
10月2日の日経平均株価は、朝方に前日比84円48銭(0.56%)高まで上昇する場面があったが、その後は急速に売りが膨らむ展開となり、結局は前日比314円23銭(2.17%)安で取引を終了した。米国の暫定予算不成立に伴う政府機関閉鎖や連邦政府債務上限引き上げ問題の不透明感が嫌気された形で、売り仕掛け的な動きも指摘されているが、根底にはアベノミクス成長戦略に対する失望感がありそうだ。
安倍晋三首相は10月1日の記者会見で、消費税を予定どおり14年4月から3%引き上げて8%にすることを正式決定するとともに、12月に5兆円規模の経済対策を策定すると表明した。しかし市場が期待した法人税実効税率引き下げに関しては「真剣に検討を進めないといけない」と強調したにとどまり、明確な方向性を打ち出すには至らなかった。
■「真剣に検討を進めないといけない」にとどめる、期待の農業全面自由化もなし
今年6月、アベノミクス成長戦略で「法人税実効税率の引き下げ」「解雇規制の緩和」「農業参入の全面自由化」という、市場が期待した大胆な規制改革が先送りされたことを受けて失望感が広がり、日本株が大幅に下落した場面の再現のようだ。
5兆円の経済対策で景気腰折れを回避できるのか、設備投資減税や賃上げ促進減税の効果はあるのかといった懸念よりも、法人税実効税率の引き下げという長期的視点に立った成長戦略を明言できない状況に対する失望感が根底にあるだけに、日本株の本格上昇にはこうした失望感の払拭が必要になる。このままでは2020年東京夏季五輪開催の効果までも色あせてしまう心配がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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