イベント相場の先行き不透明環境下で確実材料関連の復配銘柄への先取り対応も一考余地=浅妻昭治

2013年9月24日 14:51

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【浅妻昭治のマーケット・トーク】

  イベント相場は、油断も隙も許されない。例のFRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和策(QE3)の縮小先送りである。9月17~18日にFOMC(公開市場委員会)では大方の予想が、縮小決定で一致し、問題は資産購入規模の減額額で見方が分かれていたに過ぎなかったのが、フタを開ければ縮小先送りとほとんど予想されていなかった決定となって、事前予想を裏切った。

  この見送りは、量的緩和策の継続の「リスク・オン」につながり、それはそれでマーケット・フレンドリーで結構なことだったが、それがたった2日でまたひっくり返った。9月20日にセントルイス連銀のブラード総裁が、緩和策の縮小が、10月29~30日の次回FOMCにも決定する可能性を示唆したと伝って、「リスク・オン」が、「リスク・オフ」に一変、NYダウが、185ドル安と縮小見送りを好感高して上昇幅147ドル高以上に急落してしまった。

  今後もこのイベント相場は、10月のFOMCで縮小が決定されるか、12月のFOMCまで先送りされるか、市場の見方は分かれることになり、単純にイベント通過で不透明化一掃とは一筋縄ではいかず、今年5月のバーナンキ議長の議会証言以来続いた神経質な相場展開が繰り返されることになるわけだ。

  イベントは、今後もこのFOMCの政策決定だけには止まらない。10月1日に安倍晋三首相が政治決断するほぼ既定事実化しつつある消費税増税も、重要イベントの一つである。これも、国際公約となっている財政改革を実現する「アベノミクス」の一貫として海外投資家に評価され「リスク・オン」になるとするのが大方の予想となっているが、本当にその相場シナリオが実現するかしないかは、フタを開けてみなければ分からないのである。油断もできず隙を見せられないと警戒感は強まるばかりである。

  こう未確定なイベントに振り回され続けると、もう少ししっかり確定した材料に基づいて腰を落ち着けた株式投資をしたいと望む投資家のニーズも高まってくると予想される。そうした投資家にぜひ一考することを奨めたいのが、復配銘柄への先取り投資である。兜町では、赤字企業が黒字転換して、無配から有配に復配する過程の銘柄が株価妙味度が最も大きいとするのがかつての有力な投資セオリーであったからだ。3月期決算会社の中間配当の権利付き最終日が、9月25日に迫っているこの時期に、ほぼ確定の株価材料をテコに株価が先取り高する展開は、かなり可能性が高いと見込まれる。

  実際に連休前の9月20日に日本コンベヤ <6375> が、ストップ高して年初来高値をつけたが、同社は、今3月期に2期ぶりの1円の復配を予想しているのである。またテンアライド <8207> も、今3月期に7期ぶりの復配を予想しており、同じく株価は、20日に8月につけた年初来高値に顔合わせしており、このハシリが続出しているのである。復配会社にアプローチして第2の日コンベヤ、第3のテンアライドを期待する投資スタイルは、全般相場がなお先行き不透明感を強めるなか、十分、有効に機能する可能性もありそうだ。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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