年末年始に向け『オリンピック関連の内需株が主役』の展開に=犬丸正寛の相場展望

2013年9月13日 15:25

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■大成建設が牽引、アベノミクス相場でトヨタ2.2倍から大成建の880円相場も

  来週(17~20日)は、引き続き『オリンピック関連銘柄』中心に堅調な相場が予想されそうだ。とくに、オリンピック関連銘柄のリード役的存在の大成建設(1801)の動きがカギを握っているといえるだろう。

  東京オリンピック開催の決まった今週(9~13日)の相場は、建設株中心に関連銘柄が売買高の上位を独占した。とくに、オリンピックのシンボルとなる国立競技場建設受注が有力な大成建設は9日(月)に売買高が一気に1億株台に急増、10日(火)には2億9602万株に達し、株価も前週末の405円前後から10日には535円と急伸した。さすがに、短期的なヒートアップから調整となっているものの、500円前後で下げ止まり調整としては軽い。

  大成建設はトヨタ自動車との比較ができる。昨年秋から今年5月までの『アベノミクス相場』ではトヨタ自動車(7203)が全般相場を牽引した。今回の『オリンピック相場』では大成建設が全般相場を引っ張っているからだ。このため、トヨタ株が昨年秋から今年5月まで2.2倍に上昇したことから、大成建設も400円を起点に最終的には2.2倍の880円も期待されてよいだろう。一部には大成建設は1991年以来の4ケタの声も聞かれるほどである。上値目標は難しいとしても、「大成建設が国立競技場の受注決定、あるいは着工という材料が決まるまでは強い展開が続くだろう」(中堅証券)。

  来週はアメリカのFOMC(公開市場委員会)が予定されており、注目の量的金融緩和縮小がどうなるかという材料はある。一応、日本のマーケットは様子見にはなるだろうが、基本的には日本のマーケットはグローバル材料から離れオリンピック中心に国内材料中心の展開とみられることから大きくは影響は受けないだろう。

  国内では、GDP4~6月確報値好調を受けて、消費税引上もほぼ予定通り決まりそうである。外国人投資家にとっては、日本の政権に対する実行力評価と財政健全化に対する評価で日本株の組み入れ比率を高めることにつながるものとみられる。

  とくに、日本の企業業績面では日経平均予想1株利益は夏場に890円前後まで低下していたが、9月3日以降は910円台に乗せ明るさが加わっている。今後、3月期決算期企業の9月中間決算発表において通期業績に対する上振れ期待が一段と高まりそうである。

  ただ、アベノミクス相場では円安に伴い輸出株が先導し、内需株へバトンタッチという好循環相場だったが、今回のオリンピック相場では輸出関連銘柄は大きくは動かずオリンピック関連の内需型銘柄に人気が集まる可能性があるだろう。なぜなら、輸出関連銘柄は5月にかけ大きく買われたからであり、円安も進んでいないことがある。

  これから、年末年始に向かっての相場は内需関連銘柄が『主』、輸出関連銘柄が『従』の展開になるものとみられる。3ヶ月ていどの中期投資を旨とする個人投資家の方は内需関連銘柄を中心に組み入れるのがよいだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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